« 2015年1月 | メイン | 2015年3月 »

2015年2月

2015年2月27日 (金)

人をだめにするソファ

久しぶりの更新です。
 
最近ノラ君catに、無印良品のソファ(通称「人をだめにするソファ」)を買ってやったら、結構気に入って座っています。
Img_4940
 
お顔を見るとキリッ!としていて、「だめ猫」にはなっていないようですねsmile可愛いでしょhappy01
Img_4938
 
 
ところで次は、センチネルリンパ節生検の話題ですhappy01
 
この前ブログでとりあげた悪性黒色腫(メラノーマ)センチネルリンパ節生検の結果は陰性でした。これで、腋窩リンパ節郭清(リンパ節を全て切除すること)をする必要はなくなりました。良かったですねhappy01
 
 
リンパ節郭清は術後の合併症のことを考えると、する必要がなければしたくありません。その必要性の有無を判断するために行われるのが、センチネルリンパ節生検なんですgood
 
実は数日前にも、外陰部のある皮膚がんセンチネルリンパ節生検を行いました。下写真はそのときの蛍光法の写真です。
(注)センチネルリンパ節生検は、色素法、RI法、蛍光法の3種類があります。
 
病変部は外陰部の左側なのに、なんと右側に流れて、さらにUターンして()右鼠径リンパ節()に入りましたcoldsweats02。今回は、蛍光法がすごく役立ちましたねhappy02
Img_4937_2
 
センチネルリンパ節とは、最初に転移するリンパ節ですから、これに転移がなければ郭清をする必要はありません。
 
センチネルリンパ節生検を行うことによって、リンパ節郭清の必要性の有無を正確に判断できるようになり、患者さんの負担が大幅に改善されましたhappy01
 
日々進歩する最新の検査や治療法を学ぶためにも、今後も貪欲に学会参加をして研鑽に努めます。その為に休診させて頂く事が有り、ご不便をおかけしますがご理解下さい。
  
(院長)
 
 
 

2015年2月 9日 (月)

足の黒子(ほくろ)

最近メディアで黒子の癌悪性黒色腫、メラノーマ)が定期的に取り上げられているので、自分の黒子(ほくろ)が心配で受診される方が増えていますhappy01
 
当院のブログの写真は、結構メディアから使用依頼が来るので、みなさんが見ている放送は当院の写真が使用されているかもしれませんねsmile
 
ところで日本人の場合は、足底に黒子(ほくろ)の癌が発生し易いのですshock
Img_1713
 
昔は肉眼eyeで見て、危なそうだったら手術をすすめていたのですが、現在はダーモスコピー(下写真)を使って正確に診断ができるようになりましたhappy01
Images 
例えば足底の黒子(ほくろ)ダーモスコピーでみると、次のように見えることがあります。
Img_0151_2  
足の裏には指紋があります。上写真のように、指紋の溝に沿って着色(焦げ茶色)を示すパターンを、皮溝(ひこう)平行パターン(parallel furrow pattern)といって良性のパターンです。悪性になることはまずありませんgood
 
次の写真のように見えることもあります。
Img_0149
 
着色が、溝と溝の間の皮丘(ひきゅう)というところに着いています。これは、皮丘パターン(parallel ridge pattern)といって悪性である可能性が高くなりますshock積極的に手術(生検)をして病理検査をすすめます。
  
次のパターンは刷毛ではいたような着色(繊維状パターンfibrillar pattern)です。
Img_0153
 
このパターンは、悪性の可能性は低いです。しかし、可能性はありますので経過観察が必要です。7mmより大きいものは切除して病理検査をすることが勧められています。
 
  
下写真の患者さんは、上写真のようなfibrillar patternの方の経過をみていたときに、ある日突然、矢印の灰色の部分(直径1mm)が出現しました。whitish veilという悪性の所見です。至急検査のため予約をいれたのですが・・。
6_82290781da1_2
 
患者さんは予約日に来られず、呼び出しに応じて受診されたころには、whitish veil(←)はさらに大きくなっていました。
Editdermoscopy_2_2
 
たった2mm程度の所見(黒子自体は8mm程度)に対して2cm以上の十分なマージンで切除しました。完治できたと思いました。その後数年経過はよかったのですが・・。
 
私が福井赤十字病院hospitalを去って後に局所再発し、その後局所リンパ節を経由して全身に転移を起こしてしまいました。このときほど、この癌の恐ろしさを感じたことはありません。
 
黒子の癌(悪性黒色腫、メラノーマ)には十分な注意が必要です。足の黒子(ほくろ)が気になる方は、ダーモスコピー検査をしましょうhappy01
 
(院長)
  
*現在当院では、3種類8台のダーモスコピーを所有しています。
1)DermaLite Lumio S
Dermalite
 
2)Epi light 
An_dsp2cgi_2
 
3)Handyscope
Img_1030_3
 
それぞれ特徴があり、正確な診断のために用途にあわせて使用しています。
 
*本文中の皮丘パターンの検査結果は良性でした。改めて見ると一部皮溝パターン(double dotted variant)をみとめるようです。どちらが優位かというと、皮丘パターンということになりました。
 
 

2015年2月 5日 (木)

悪性黒色腫(メラノーマ)のセンチネルリンパ節生検

昨日水曜日は、悪性黒色腫(メラノーマ)の手術とセンチネルリンパ節生検を行いに福井赤十字病院hospitalに行ってきました。
 
センチネルリンパ節生検というのは、乳がんや悪性黒色腫で最近行われるようになってきた最先端の検査です。 
 
センチネルリンパ節とは、癌が最初に転移するリンパ節のことです。ここに癌が転移していなければ、他のどのリンパ節にも転移していないこと意味します。
 
下写真は、蛍光色素を下背部の病変周囲に注入した後に、左腋窩を撮影したものです。黄い矢印は、センチネルリンパ節に流入するリンパ管、赤い矢印はセンチネルリンパ節です。ばっちりとセンチネルリンパ節をとらえることができましたgood
Img_4915
 
センチネルリンパ節を見つける方法は3つあります。上写真のように蛍光色素を使った蛍光法、放射性同位元素を使ったRI法、特殊な色素を使った色素法です。
 
福井赤十字病院hospitalは、3つの方法を全て使って100%の検出率を目指しています[1][2]happy02 このリンパ節に転移があるかどうかで、病期(ステージ)と治療方針が大きくかわるのです。正確にみつけなければいけませんthink
 
下写真は、以前行ったセンチネルリンパ節生検蛍光法)です。左踵の悪性黒色腫(メラノーマ)だったと思います。
Photo
 
蛍光法は、こんな感じでリンパ管が一目瞭然なんです。すごいでしょgood画像が綺麗なのは、このときはカメラから直接録画していたからですね。 
 
未だに、この3つの方法を行っている皮膚科施設は全国的にはめずらしいようです。またさらに、これをするために病院に出張する開業医も全国的にはめずらしいかもしれませんねsmile
 
悪性黒色腫(メラノーマ)の診断と治療は、私の専門分野の1つです。黒子(ほくろ)が心配になったら受診してください。的確に診断しますhappy01
 
(参考文献)
[1]中川雄仁、藤井弘子、西村陽一: 当院におけるセンチネルリンパ節生検蛍光法の経験 皮膚の科学 2008: 7(1);75-78
[2]中川雄仁、藤井弘子、西村陽一: desmoplastic malignant melanomaの1例 臨床皮膚科: 2008: 62(8); 571-574
   
(院長)
 
 

カテゴリ

カウンター

  • アクセスカウンター