足の黒子(ほくろ)
最近メディアで黒子の癌(悪性黒色腫、メラノーマ)が定期的に取り上げられているので、自分の黒子(ほくろ)が心配で受診される方が増えています
当院のブログの写真は、結構メディアから使用依頼が来るので、みなさんが見ている放送は当院の写真が使用されているかもしれませんね
ところで日本人の場合は、足底に黒子(ほくろ)の癌が発生し易いのです
昔は肉眼で見て、危なそうだったら手術をすすめていたのですが、現在はダーモスコピー(下写真)を使って正確に診断ができるようになりました
例えば足底の黒子(ほくろ)をダーモスコピーでみると、次のように見えることがあります。
足の裏には指紋があります。上写真のように、指紋の溝に沿って着色(焦げ茶色)を示すパターンを、皮溝(ひこう)平行パターン(parallel furrow pattern)といって良性のパターンです。悪性になることはまずありません
次の写真のように見えることもあります。
着色が、溝と溝の間の皮丘(ひきゅう)というところに着いています。これは、皮丘パターン(parallel ridge pattern)といって悪性である可能性が高くなります積極的に手術(生検)をして病理検査をすすめます。
次のパターンは刷毛ではいたような着色(繊維状パターン、fibrillar pattern)です。
このパターンは、悪性の可能性は低いです。しかし、可能性はありますので経過観察が必要です。7mmより大きいものは切除して病理検査をすることが勧められています。
下写真の患者さんは、上写真のようなfibrillar patternの方の経過をみていたときに、ある日突然、矢印の灰色の部分(直径1mm)が出現しました。whitish veilという悪性の所見です。至急検査のため予約をいれたのですが・・。
患者さんは予約日に来られず、呼び出しに応じて受診されたころには、whitish veil(←)はさらに大きくなっていました。
たった2mm程度の所見(黒子自体は8mm程度)に対して2cm以上の十分なマージンで切除しました。完治できたと思いました。その後数年経過はよかったのですが・・。
私が福井赤十字病院を去って後に局所再発し、その後局所リンパ節を経由して全身に転移を起こしてしまいました。このときほど、この癌の恐ろしさを感じたことはありません。
黒子の癌(悪性黒色腫、メラノーマ)には十分な注意が必要です。足の黒子(ほくろ)が気になる方は、ダーモスコピー検査をしましょう
(院長)
*現在当院では、3種類8台のダーモスコピーを所有しています。
1)DermaLite Lumio S
2)Epi light
3)Handyscope
それぞれ特徴があり、正確な診断のために用途にあわせて使用しています。
*本文中の皮丘パターンの検査結果は良性でした。改めて見ると一部皮溝パターン(double dotted variant)をみとめるようです。どちらが優位かというと、皮丘パターンということになりました。