今回は、当院の乾癬治療をご紹介したいと思います
クリニックホームページ内での乾癬治療の紹介が不十分なため、急遽ブログで補足することにしました。
実は、乾癬の治療は最も力を入れている分野の1つなんですけどね 近いうちにホームページを充実させなくちゃ
光線療法は、予約制で行っています。治療法の選択は医師の判断で行いますので、希望されても行わないこともあります。電話でのご相談はお受けしておりませんのでご遠慮ください。受診してご相談ください。
毎週日曜日は、越前海岸へダイビングに行っています。私も、師長も一応インストラクターですねので
地元の方は信じられないかもしれませんが、越前海岸は日本屈指のダイビングスポットなんです
今は雨が少なく、透明度が上昇中で、20mオーバーのところもありますね。
この越前独特の透明度のよい深い青色の海を「越前ブルー」とダイバーは呼んでいます。
YouTubeに玄達の映像がありました。まさに越前ブルーですね
ところで、越前海岸は海水浴客でいっぱいでした みなさん浜辺でバーベキュー(BBQ)などして楽しそうでしたね
しかし、このBBQにちょっと関係するしいたけ皮膚炎 (flagellate dermatitis)のお話を今回はしたいと思います
この皮膚炎は、しいたけ (Lentinus edodes)を食べた後に全身をムチでうたれた(flagellate)ような皮疹が出現します(下写真)。ものすごく痒いらしい
皮疹を拡大すると、この線状の皮疹は多数の紅色小丘疹で構成されています。英語では、linear groups of pruritic erythematous papulesと記載されていました。
しいたけに含まれるレンチナン(lentinan)という物質による中毒症状とされています。
さらに、この皮膚炎は紫外線誘発性であり、アルコールで悪化することが知られています。
なので、強い日差しを浴びながらビール飲んでBBQのしいたけを食べたときには・・・ ということですね 気を付けましょう
有名なイギリスの皮膚科雑誌British Journal of Dermatology(BJD)に2006年にはじめて掲載(ヨーロッパ第1例報告)されたのを見たときには驚いたものです①
「こんなのが、BJDに載るの?」と。なぜなら、日本の皮膚科医には当たり前の皮膚炎だったからです。
アメリカの有名な皮膚科雑誌にも16年間診断がつかなかったしいたけ皮膚炎という報告があったくらいですからね②
欧米人には、非常にめずらしい皮膚炎らしいですよ。
ただし日本でも、皮膚科医でなければなかなか診断治療は難しいと思います
BBQをして(あるいはしいたけを食べて)、体にこんな痒い皮膚炎がでてきたら皮膚科専門医を受診してください
(注)越前壁石(かぶし)浜ではBBQは禁止されています。
(参考文献)
①Mak RK, Wakelin SH: Br J Dermatol 2006;154 (4): 800-1.
②Garg S, et al.: Arch Dermatol. 2008;144(9):1241-2.
(院長)
今回の記事とは関係ありませんが、夏休みでもあり現在レーザーおよび手術(ほくろやシミとり、良性腫瘍の切除など)の予約が2ヶ月先までいっぱいです お急ぎでなければ秋以降に予約が減ってきますのでその時期の受診をお勧めします お急ぎの方は、私が信頼をおいている形成外科医あるいは皮膚科医に紹介させていただきます 電話でのご相談はお受けしておりませんのでご遠慮ください
〠918-8105 福井県福井市木田3丁目2605
にしむら皮フ科クリニックのホームページ
夏真っ盛りですね
猛暑の中のクリニックの写真です 暑さ伝わりましたか?
暑い日が続いていますので、皆様お体にお気を付け下さい
暑さとともに、子供のとびひが流行してきました
とびひの正式名称は、伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)といって、ブドウ球菌や溶連菌などの細菌感染症です。
接触によって移り、火事の飛び火のようにあっと言う間に広がることより、とびひ、といわれています
特徴は、英語でhoney color(はちみつ色)と称せられる、この黄色いかさぶたです。
特に今年は、抗生物質が効きにくいMRSA(多剤耐性ブドウ球菌)のとびひが比較的多いようですね
治療は、抗生剤の使用ですが、耐性菌を作らない工夫や患部をしっかり洗うなどのスキンケアが大切です
そして、実はあまり知られていないんですが、治療後のスキンケアが再発予防にもっとも大切です
とびひを繰り返す子供がよくいますが、このスキンケアが不十分なケースが多いですね
(院長)
今回の記事とは関係ありませんが、夏休みでもあり現在レーザーおよび手術(ほくろやシミとり、良性腫瘍の切除など)の予約が2ヶ月先までいっぱいです お急ぎでなければ秋以降に予約が減ってきますのでその時期の受診をお勧めします お急ぎの方は、私が信頼をおいている形成外科医あるいは皮膚科医に紹介させていただきます 電話でのご相談はお受けしておりませんのでご遠慮ください
前回の話題は、ピーナッツアレルギー(Peanuts allergy: PA)の疫学調査から、食事制限は食物アレルギー発症のリスクを高めるかもしれないというお話でした
落花生油(ピーナッツオイル)のクリームを体にぬっている子供にPAが多いという報告です①
これは、食物アレルギーは皮膚から入る食物(アレルゲン)が原因で発症する可能性が高いことを示しています。
くしくもこれを「お茶石けん」が証明したのは記憶に新しいことと思います
お茶石けんに含まれていた加水分解小麦の粘膜(目や鼻)や皮膚からの侵入が、重篤な小麦アレルギーを引き起こしてしまった事件ですね
これらのことから近年注目を浴びているのが、Lack G先生の二重アレルゲン曝露仮説 です(下図)②
食物アレルゲンの経口摂取(oral exposure:経口暴露)は、食物アレルギーの発症を抑制(tolerance)し、皮膚からの食物の侵入(cutaneous exposure:皮膚暴露)は食物アレルギー(allergy)を引き起こすという考えです
またこれは、皮膚からの食べ物の侵入を防げば、食物アレルギーの発症も防げる可能性を示唆しています。②
この侵入経路でもっとも注目されているのが乳児湿疹や乳児アトピー性皮膚炎(以下アトピー)なんですね①②
これは、外用治療を全くしていないアトピーの小児のお肌ですが、もう皮膚バリアがぼろぼろですね この肌じゃ、食べ物(例えばビスケットの屑など)やほこりなどアレルゲンがどんどん皮膚の中に入って行きそうですね
実際に、乳児期早期から適切な外用治療(ステロイド軟膏や保湿剤などのぬり薬)で皮膚のバリアを改善させると、食物(アレルゲン)の皮膚からの侵入が少なくなり食物アレルギー発症を回避させる可能性が報告されてきています②③④
さらに外用治療でアトピーだけでなく食物アレルギーそのものも改善し、特異的IgEも低下することが報告されています④
以上のことから、食物アレルギーのもっとも有効かつ安全な予防法は、乳児期早期からの外用治療であるようです
外用治療が不十分な乳児湿疹や乳児アトピーの子を持つ親御さんが、すぐに食事制限をしたがるのを制して、まずぬり薬ですと外来で強く強調しているのは以上の理由からなんです
(参考文献)
①Lack G et al.: N Engl J Med 2003; 348:977-85.
②Lack G : J Allergy Clin Immunol 2008; 121: 1331-6.
③Simpson EL, et al.: J Am Acad Dermatol 2010;63:587-93.
④片岡葉子: 第111回 日本皮膚科学会総会 教育講演34
(院長)
今回の記事とは関係ありませんが、夏休みでもあり現在レーザーおよび手術(ほくろやシミとり、良性腫瘍の切除など)の予約が2ヶ月先までいっぱいです お急ぎでなければ秋以降に予約が減ってきますのでその時期の受診をお勧めします お急ぎの方は、私が信頼をおいている形成外科医あるいは皮膚科医に紹介させていただきます 電話でのご相談はお受けしておりませんのでご遠慮ください
食物アレルギーのなかでもピーナッツアレルギー(Peanuts allergy: PA)は欧米ではもっとも深刻です
なぜなら、アナフィラキシーなどの重篤な症状を引き起こす上に患者数が年々増えてきているためです①
それに、欧米人はピーナッツバター大好きですからね〜 ちなみに当院師長の大好物でもあります。
このPAの疫学調査から食物アレルギーの概念が大きく変わろうとしています
今回のお話は、イスラエルと英国の小児(ユダヤ人)に対するPAの疫学調査についてです。②
「離乳期からピーナッツ製品を普通に摂取しているイスラエルの小児に比べ、ピーナッツを摂取制限している英国の小児のほうがピーナッツアレルギーが10倍多い。」という驚くべき調査結果がでています(下図)②③
近年、妊娠や授乳期間中の食事制限は、食物アレルギーの予防には効果がないことがわかってきていますが④⑤⑥、
今回の調査結果は、予防としての食事制限はむしろ害になる可能性を示唆しています
この真偽をはっきりさせるために、数年前からある大規模臨床試験(The LEAP Study: learning early about peanut allergy)が開始されています。
離乳期から3才までピーナッツを食べるグループと食べないグループに分けて、PAの発症に差がでるかを調査しています。
来年2013年にその結果がでます この結果次第では食物アレルギーの指導が大きく変わるかもしれませんね
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(参考文献)
①Sicherer SH: J Allergy Clin Immunol 2010; 125: 1322‐6.
②Du Toit G et al.: J Allergy Clin Immunol 2008; 122: 984‐91.
③Gideon Lack: How does food allergy develop?
④Fox AT et al.: J Allergy Clin Immunol 2009; 123: 417‐23.
⑤Gideon Lack et al.: N Engl J Med 2003; 348:977-85.
⑥Verhasselt V: Mucosal Immunology 2010;25:326–33.
(院長)
現在重症の食物アレルギーを持っている方は、食事制限が必要です。
食事制限は、緊急避難的な手段としての意味合いしかありません。これで、アトピーや食物アレルギーが治るわけではないのです。むしろ食物アレルギーの発症を増大させているかもしれないというのが今回のお話でした。ですから、重症でもない乳児湿疹や血液検査の結果だけで食事制限をはじめることは厳に慎まなくていけません。
今回の記事とは関係ありませんが、夏休みでもあり現在レーザーおよび手術(ほくろやシミとり、良性腫瘍の切除など)の予約が2ヶ月先までいっぱいです お急ぎでなければ秋以降に予約が減ってきますのでその時期の受診をお勧めします お急ぎの方は、私が信頼をおいている形成外科医あるいは皮膚科医に紹介させていただきます。電話でのご相談はお受けしておりませんのでご遠慮ください
乳児のアトピー性皮膚炎(以下アトピー)の治療で、いつも困惑することがあります
「数日で症状が良くなったので、ぬり薬は勝手に止めました。」と母親から告げられることです。
ここには、大きな誤解があるのです
保湿剤やステロイド軟膏などの外用治療の目的は、今ある症状を無くすことだけではないのです
目的の1つは、アトピーの発症および重症化の予防です。①②③
これについては、以前当ブログ「アトピーの発症は予防できる。」でも説明しています
下図の右側のように、皮膚バリアー障害(フィラグリン遺伝子異常など)を有する子供は、どんどん皮膚からアレルゲンが入っていきます①②④
赤ちゃんの免疫細胞は、皮膚から入ってくるビスケット(小麦や卵)やピーナッツなどの屑やハウスダストなどの埃(アレルゲン)にさらされ続け炎症(免疫反応→感作成立)を絶えず起こします(上図の右側)③④
ラット(ねずみ)を使った実験では、この炎症が何度も起こると、徐々にアトピーの状態に移行していくことが知られています
継続した外用治療によって皮膚のバリアーを改善維持させてこの炎症を抑えることは、アトピーの発症を予防し、その後の喘息などのアトピーマーチを回避することになるのです(上図の左側)①③
また、発症してしまったアトピーについても、その重症化を防ぎ、大部分のアトピーの子供を治癒に導くことも分かってきています②
よって、治療をしなくても皮膚症状がでなくなる時期(*)まで外用治療は継続する必要があるのです
2つ目の目的は、食物アレルギー発症の回避です。①②⑤
どうやら食物アレルギー(food allergy)は、皮膚からのアレルゲン侵入(cutaneous exposure)によって起こり、口からのアレルゲンの摂取(oral exposure)は、むしろアレルギーを抑える働き(免疫寛容、tolerance)があるようです(下図)⑤
(Lack G:The Journal of Allergy and Clinical Immunology 2008;121: 1331-1336.より引用)
よって、継続的な外用治療で皮膚からのアレルゲン侵入を極力抑える必要があるのです
外用治療をしっかり行うと、食物アレルギー自体も改善し、卵や小麦などの特異的IgE抗体も低下していくことが分かってきています。②
口から入る食物アレルゲンは、むしろ食物アレルギーを抑える(治す)働き(tolerance)があります⑤⑥
乳児アトピーの子を持つ母親が、授乳中のため食餌制限をしてるのを時折見かけますが、むしろ免疫寛容(tolerance)という点ではマイナスでしょう⑥
(Verhasselt V:Mucosal Immunology 2010;25: 326–333より引用)
今年の日本皮膚科学会総会でも、アトピー治療で有名な演者が「どうやら、アトピー治療における食餌制限は間違いだったようです。」と述べられたのは感慨でした
最後に、われわれの乳児アトピー治療における目的は、現在の症状を治すことはもちろん、アトピーの発症を予防することや、発症したアトピーを重症化をさせずに寛解・治癒に持ち込むこと、そして後に起こる食物アレルギーや喘息などのアトピーマーチを回避することにあるのです
乳児アトピーと大人のアトピーとでは、治療目的が異なるのですね
*乳児アトピーの治療経過は、6〜8ヶ月が最も症状が強く、その後改善して行きます。1才くらいには治癒する子供も見られます。2才くらいには、冬に悪化する程度になり、3才くらいには多くの子供が寛解治癒していきます②
(乳児期早期より継続的に治療した方の経過です。無治療自然経過ではありません)
(参考文献)
①Simpson EL, et al.: J Am Acad Dermatol 2010;63:587-93.
②片岡葉子: 第111回 日本皮膚科学会総会 教育講演34
③秋山真志: 日医雑誌 2010;138:2536-7.
④Komatsu N, et al.: Br J Dermatol 2005;153:274- 81.
⑤Lack G: The Journal of Allergy and Clinical Immunology 2008;121:1331-36.
⑥Verhasselt V: Mucosal Immunology 2010;25:326–33.
(院長)
チャクドクガの幼虫(毛虫)による皮膚炎の患者さんが急増しています。連日5、6人の受診があります。
下の写真は、数日前に当院を受診された患者さんです。腕に細かな丘疹(ぶつぶつ)が集簇しています。凄く痒そう!
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チャドクガは、ゴールデンウイーク頃に卵が孵化して毛虫となり、6、7月頃に羽化して蛾(ガ)となります。これが卵を生んで、またそれが孵化して8、9月に毛虫になるという、2度の発生をします。よって、被害は二層性にきます。また、庭木としてのツバキやサザンカに大発生することがあり、実害としては毛虫の中では最大です
(下動画:チャドクガ幼虫)
毛虫は何百万本という毒針毛という毒針(長さ0.1〜0.2mm)をもっています。これが皮膚に刺さって症状を引き起こします(下写真は日本皮膚科学会ホームページより)
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詳しくは、昨年のブログにまとめました。参照してください。
不定期に、毛虫の大発生の年が回ってきます。今年は、大発生の予感がします 気をつけてください
安易に市販薬などで治療していると、患部が徐々に広がっていくことが多く、被害にあったときには医療機関へすぐに受診することが大切ですね
一昨日受診された全身に皮疹が広った患者さん 夜も眠れないくらい痒かったそうです
(院長)
ちなみにブログ掲載の写真は、本人の同意を得ています。
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毛細血管拡張性肉芽腫(pyogenic granuloma : PG)は、日常診療でよく遭遇する血管腫の一種です。
PGの結紮療法(糸で結ぶ)は、このブログで何度か紹介しました。①②
しかし、知り合いの医師から、あまりに大きいものや小さ過ぎるものは巧くいかないと言われることがあります
今回は、それらの結紮術で巧くいかなそうなケースへのちょっとしたテクニック(?)を公開しましょう
3週間ほど前に、凄く大きなPGの方がこられました。茎部が結構太く、まあ本体もかなり大きいので結紮は難しそうです
当院は、それでも無麻酔で結紮です 結紮しても茎が太いので血流の十分な遮断ができず、虚血による変色が起こりません。
こういったケースでは、当日は液体窒素で冷凍療法を行い、後日2回目、3回目と何度も結紮します② 洗髪はOKです。
3回結紮時にようやく変色しはじめました もう一度冷凍療法を行い、1週間後に受診予約です。
これ手術を行ったら、ちとハゲますね レーザーで行ったら出血が凄いでしょう 結紮簡単でいいでしょ
これだけ大きいと悪性腫瘍と鑑別する必要があります。 ダーモスコピーと病理検査は必須です。①②
くれぐれも悪性腫瘍を結紮することのないように注意して下さいね
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次は、小児のPGです。小児の場合、このように小結節なことが多いです。結紮方法は参考文献を参照してください。②
小結節は、結紮によりすぐに虚血して変色します。よって、1回の結紮で済むことが多いのですが・・・。
このように、結紮後に少しのこってしまうケースがたまにあります
このようなケースでは、レーザーで残りを取ることも可能ですが、3ヶ月くらい待ってください。必ず消失します
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別の小結節型PGのケースです(上写真:結紮後、真中写真:PG残存、下写真:3ヶ月後)。3ヶ月でほぼ消失しています
なぜ消えて行くかは不明です。平になったので触らなくなったからでしょうか? わかりません
少し残っても慌てて処置をする必要はありません。経過をみてください。大抵は縮小していきます
(参考文献)
①Nishimura Y : Ligation therapy for pyogenic granuloma. J Dermatol. 2004 ; 31(8) : 699-700.
②西村陽一:毛細血管拡張性肉芽腫に対する結紮療法. 皮膚の科学 2008 ; 5(6): 440-444.
(院長)
:県外の方は、この治療をお断りしております。連絡もなく県外から突然受診され、治療を強要される方がおられますが、全てお断りしております。県外の方で、当院の通院指示を守ってもらえた方がほとんどおられません(1例をのぞいて)。治療に対する責任がありますのでご理解下さい。また、他県でこの治療を行っているクリニックの照会の電話が多いのですが、全くわかりませんのでご遠慮下さい。
小結節型PGが残存した場合、3ヶ月でかなり縮小しますが、完全に消えるのに半年以上かかるケースもあります。
最近めっきり暖かくなって来ました
それにつれて、虫さされの患者さんが増えてきています。
先週、マダニに刺された患者さんが受診されました。
マダニは、意外に近所の草むらの葉っぱの裏に潜んでいます(福井では・・)。下写真の様に噛み付いて寄生します
患者さんが自分で取ろうとすると、容易に頭部だけがちぎれて皮膚の中に入り込んでしまい腫れてきます。
また、マダニはボレリア菌という病原菌の保有率が高く、ライム病という厄介な感染症にかかってしまう場合があります
マダニは、自分で取らずに必ず皮膚科を受診してください。
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実際の治療ですが、メスやトレパンでの切除が一般的です。しかし、これも数が多いと難しい。
意外に簡単なのが、液体窒素で噛み付いた皮膚ごと冷凍してしまうことです。
マダニは一瞬で死に、皮膚と一緒にかさぶたになって脱落します。
その他、案外簡単で知られていないのが、炭酸ガスレーザーで噛み付いている部分を蒸散して除去する方法ですね
しかし、ごく稀に寄生されていることに長期間気付かず、もの凄く巨大になってこられる方がおられます(下写真:→)
こういったケースでは手術的に摘出する必要があります。
最後に、マダニが媒介するボレリア菌ですが、テトラサイクリン系やペニシリン系の抗生剤が効きますので摘除後に処方します
とにかく、マダニに刺されたかな?と思ったら、何もせずに皮膚科専門医を受診されることをおすすめします
(院長)
*ペット用のマダニ取りピンセットで取れることがありますが、案外うまく取れずに失敗して受診される方多いです。患者さんご自身ではされない方がよいですね
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