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2010年12月 9日 (木)

陥入爪(かんにゅうそう)を治そう!

陥入爪(ingrown nail)と巻き爪(incurved nail)は違います。巻き爪は爪が巻いて痛みが出ますbearing これが巻き爪です。
爪がのり巻きのように巻いていますねsmile
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巻き爪治療は、ワイヤー法が最適です(“巻き爪を治そう〜簡単!ワイヤー法〜”を参照)

陥入爪は、爪の外側が爪周囲の皮膚(側爪郭、lateral nail fold)に食い込んで、腫れて痛みますbearing これが陥入爪です。爪は巻いていません。
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最大の原因は、爪切りの失敗ですsmile

治療法はいろいろあります。テーピング法、綿花法、ガター法、人工爪、フェノール法、鬼塚法・・・・。すべてこの本に詳しくかかれています。私もフェノール法を分筆していますsmile 初心者が陥りやすいpit holeを詳しく解説したつもりですので、この治療をやってみようと考えておられる先生方は、是非(買って)読んでみてくださいねsmile
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ほとんどの陥入爪は、テーピングで解決しますgood 当院では、テーピングを指導し自宅で行えるようにしています。正しい爪切りも指導します。
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しかし、保存的治療(テーピングなど)では解決しない重症例もあります。その場合は、フェノール法を行います。この方法は術後の痛みがほとんどなく、さらに術後日常生活に全く制限が要りません。そして完治まで2−3週間と最短であることなど非常にすぐれた治療法ですhappy01
こういった状態では保存的には難しいですねcoldsweats01
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麻酔後に、食い込んでいる爪を取り除きます。凄いこと爪が食い込んでましたね〜smile
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爪を除去したところに薬(フェノール)を塗って、2度と爪が食い込まないようにしますhappy01

3週間もすると完治しますgood 手術時間は10分程度で、術後に仕事や日常生活の制限はありません。
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(院長)
フェノール法は保険適応です。

〠918-8105 福井県福井市木田3丁目2605 
にしむら皮フ科クリニックのホームページ

2010年12月 6日 (月)

くりぬき法2〜恐怖のErb's point〜

3日1回くらいは皮下腫瘍(粉瘤腫や脂肪腫など)を手術しており、そのうちの半数はくりぬき法ですねhappy01
今回の症例も頚部の粉瘤腫で、くりぬき法を行います。
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いつものように、くり抜き法で20分以内に終了するぞ!と思いきや、今回はやや慎重にならざるおえませんcoldsweats01 なぜなら恐怖のErb's pointが近くにあるからですshock  これは、教科書の写真ですが、胸鎖乳突筋中間(Erb's point)あたりから下斜めにspinal accessory nerve(副神経)がむき出しになって走っています。これに触ると腕があがらなくなりますng まじでcoldsweats02
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これを知らない皮膚科医が、手術後に患者さんの腕があがらなくなり訴訟になったケースもありますweep 日本の教科書にはあまり書いていません。あまり誰も教えてくれません。みなさん!気をつけましょう。

消毒&局所麻酔後に、いつものように4mmトレパンで穴をあけます。
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次に中身を絞り出します。
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腫瘍の袋も絞り出されました。できるだけまわりの組織に触れないように袋を取り出します。慎重に!
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最後は縫合して軟膏をぬって終了です。縫わなくてもいいんですが、今回も縫った方がきれいになりそうで縫いました。腕の麻痺が無いかチェックすることも大切です。でも、結局15分程度で終わっちゃいましたsmile
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簡単そうに見えて、結構落とし穴があるのが臨床です。粉瘤腫や脂肪腫などの皮下のできものには経験が豊富ですので、心配な方や手術を希望される方は是非受診してくださいねhappy01
(院長)

粉瘤腫(アテローマ、epidermal cyst)とは?
http://www.dermatol.or.jp/qa/qa17/index.html

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2010年10月 3日 (日)

黒子(ほくろ)のレーザー治療1

今回はほくろのレーザー治療を紹介しましょう。
当院は、レザック社製の最新型炭酸ガスレーザーを使用してほくろを除去します。
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ほくろの治療が難しいのは、再発が多いこと(特に若い方の顔面のほくろ:ミーシャ母斑)、術後に凹みが生じることですshock。当院にも、以前どこかで受けた治療で再発しただの、凹んだなどの訴えで再治療を希望される方がこられます。最悪なのは、エステなどでとって(違法行為)失敗などもありますban

実はこの2つの問題(再発と凹み)は簡単に解決できます。それは、術後2週間テープ(軟膏付き)をはることです(湿潤療法)。このテープを2週間がいやで、治療を断念される方が多いです。

話がながくなりました。では具体的に説明しましょう。
当院職員のお友達で、写真掲載をOKしてくれましたhappy01。素敵な横顔ですが、本人はほくろが多いのがイヤなのだそうです。恋人募集中だそうですheart
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顔面のほくろ(特にミーシャ母斑)は、皮膚の下(真皮)深くまで存在しているため、再発を防止するために深く削らないといけません。また、凹みが目立たないように、ほくろの大きさよりかなり大きく、すり鉢状に(なだらかに)削ります。この写真も、ものすごく広く削っているでしょう。
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当院では2週間の軟膏とテープのかわりに、特殊なシール(企業秘密ですsmile)を10日間はります。すると、あのクレーターのような大きなくぼみが真っ平らになります。これで凹みと再発は防げました。後には赤みがのこりますが、3ヶ月もすると薄くなります。
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2ヶ月後です。かなり赤みがなくなりましたgood。半年もすると全くわからなくなるでしょう。ちなみに鼻のほくろも取っています。
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10-14日間シールやテープを貼るのは嫌だという方は、最初からお断りしています。最良の治療結果を出すために妥協したくはありません。テープを貼らなくても凹みが起こらない方もおられますが、それは単に運がよかっただけですね。

そして最後にもう1つ。レーザー治療では、組織検査ができません。ということは、術前にしっかりと悪性でないことを検査しておく必要があります。最近ではダーモスコピー検査によって、かなりの精度で良性と悪性を区別できるようになりました。ほくろをとるときは、少なくとも皮膚科医によるダーモスコピー検査を受けられてからにするべきです。

当院では、2種類のダーモスコピーを使用しています(左:クリニカルサプライ、右:おんでこ)。
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下の写真は足底のほくろでフォローしていた患者さんです。
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再診時にダーモスコピーで異常(右側の黒い点+乳白色:whitish veil)をみとめました。たった2mmの病変ですが、精査したところメラノーマの進行癌でした。治療が奏功して完治されましたが、ダーモスコピーがなければ見逃していたでしょう。このようなほくろに、万が一レーザーを当てれば悲惨ですng
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しっかりとした診断があってこその治療です。(院長)

*医療機関によっては、ダウンタイムを少なくかつ凹ませないために、わざと再発覚悟で浅めに削るところもあります。術前にムンテラしてあるのであれば、これも正しい治療です。上記の方法は、あくまでも1度で確実にとることを目標にしています。

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2010年9月18日 (土)

くりぬき法1〜粉瘤腫〜

昨日(9/17)は4件の手術を行いました。頭部の表皮母斑の炭酸ガスレーザー治療が1件、顔面の色素性母斑(ほくろ)のくりぬき術炭酸ガスレーザー治療の2件、左鎖骨部の表皮嚢腫のくりぬき術が1件です。

その中で、表皮嚢腫(粉瘤、アテローマ)のくりぬき法を紹介します。皮膚外科特有の手技で、4mmの穴から倍以上の大きさのできものを取り出します。

左鎖骨部の1.5cm程度の表皮嚢腫です。
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局所麻酔後にトレパンで4mmの穴をあけます。何故か3mmではうまくいかないんです。
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次に腫瘤をつまみ、一気に中身を押し出します。4mmの穴から、1cm以上のできもが排出されました。
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取り残しがないか、肉眼的に十分に確認します。取り残しがあると再発しますからね。穴はこのままでも自然に閉じますが、このケースでは縫合した方がきれいですね。
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縫合した直後の写真です。以上20分程度の手術でした。
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数ヶ月もすると、ほとんどわからない傷になっているでしょう。最後に病理検査を行い、嚢腫壁が完全に摘出されていることを顕微鏡的に確認することが大切です。高齢者の場合は、まれに癌化していることもありそのチェックも必要です。

昼休みを利用して手術をしているため、外来の多い日は休み時間なしですね。しかし、何故か手術は疲れませんね。
(院長)

 

粉瘤腫(アテローマ、epidermal cyst)とは?
http://www.dermatol.or.jp/qa/qa17/index.html

 

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2010年9月15日 (水)

福井赤十字病院での1日

毎週水曜日は福井赤十字病院で、手術とカンファレンス(症例検討会)に参加しています。
本日の手術は、頚部の長径15cm以上の脂肪腫の患者さんです。全身麻酔下に私が執刀しました。5cm程度の切開で摘出できました。
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手術の内容はいずれ詳しく紹介する予定です。クリ二ックでは、もっぱらアテローマやほくろなどの小さな手術をきれいに仕上げることを、福井日赤では大きな手術を経験することで、長年培った手技にさらに磨きをかけることを目標にしています。


手術後に、カンファレンスを行いました。日頃の難治症例について、症例写真と病理検査所見をみて1時間程度ディスカッションしました。
下の写真はそのときの模様です。右手前が私で、その奥で指差して説明しているのが中川先生(日赤皮膚科代表)です。
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開業しても毎日が勉強ですね。今日も有意義な1日がすごせました。明日は休み明けで外来が混みそうです。(院長)

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