カテゴリ「アトピー性皮膚炎」の26件の記事 Feed

2013年11月30日 (土)

アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法の症例

アトピー性皮膚炎(以下アトピー)の話題は久しぶりですねhappy01
 
ここ数日プロアクティブ療法中の、かって重症アトピーであった方がドッとこられました。そのお一人に写真掲載をお願いしたら快く承諾してもらえましたので、久しぶりにこの治療法を紹介したいと思いますgood
 
この患者さん(10代女性)は、某病院で長年厳格な食事制限非ステロイド外用剤、消毒液(ヒビテン?)を皮疹に塗るなどの治療をうけていましたshockおそろしくout-of-dateな治療なんですが・・・coldsweats02福井ではたまに見かけますcoldsweats01
 
血液データは、初診時 IgE 12730 IU/ml, TARC 14146 Pg/mlという重症の状態になっていましたshock下写真は初診時です。
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治療は、もちろんプロアクティブ療法を開始しました。半年後の経過は、下写真のようにほぼ寛解して真っ白shineです。血液データは、IgE 5097 IU/ml, TARC 224 Pg/mlまで改善しました。現在、週2回の外用(塗る)治療(保湿剤とⅢ〜Ⅳ群レベルのステロイド)で、食事制限はほぼ解除されています。
Img_5483
 
今後はプロアクティブ療法を継続して、外用頻度とレベルをさらに下げて完全寛解をめざしていく予定ですwinkまた、今回の写真掲載に快く承諾いただきましてありがとうございました。
 
他には、以前このブログで紹介した下写真の患者さんも一昨日受診されました。プロアクティブ治療ですでに1年の経過ですが、同様に症状はほとんど無く、週2回の外用で継続治療中です。TARCはほぼ正常域で推移し、IgE7930→3085→2883 IU/mlと低下してきています。
(下写真:初診時)
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下写真:治療半年後 
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プロアクティブ療法は、長期の計画的な外用治療が必要であり、従来のリアクティブ療法のように症状が出てから(あわててsweat01)外用をしはじめる治療とは全く異なる概念の治療法ですconfident症状がなくても、アトピー克服のために一定間隔で計画的に外用をし続ける必要がありますconfident
 
欧米ではすでに広く提唱されている治療法ですが、日本では最近になりようやく認知されるようになってきましたhappy01
 
よって以前は、他院を受診したら「症状がよくなっているので塗る必要がない」、あるいは「塗らない方がよい」といわれたと、プロアクティブ療法中の患者さんからの不安による問い合わせや苦情がよくありましたねdespair
 
(院長)
 
banana当院の小児アトピー成人の重症アトピーの患者さんは、基本的にプロアクティブ療法です。この治療法は、長期の定期的な通院が必要であり全ての患者さんに行っているわけではありません。
  
appleプロアクティブ療法の詳細は、当ブログの以下の記事を参照してください。
 
 
cherry以下の休診を予定しています。ご注意ください。
 
・12/14(土)第433回 日本皮膚科学会京滋地方会で発表のため全日休診です
 
・12/21(土)臨時休診
 
 

2013年9月18日 (水)

アトピー性皮膚炎治療最前線

一昨日テレビtvを見ていると、知った顔が映っていてびっくりcoldsweats02です。京大の椛島先生がでていました。
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アトピー性皮膚炎フィラグリンなどの皮膚バリア機能を担うタンパク質の遺伝子異常についてはこのブログで何度も言っていることですが、そのフィラグリンを増やす化合物を発見したというのですhappy02
 
「皮膚そのものを丈夫にする治療の可能性」とはいい表現ですねhappy01しかし、このプロジェクトは全く知りませんでした。彼もブログで「解禁」と言っているところをみるとかなり極秘secretに進められたものだったんでしょうね。
 
話の内容では、かなり実現の可能性が高いように思えました。実用化まではそんなに簡単な話ではないでしょうが、がんばってほしいですねhappy01
 
彼はマラソンrunが趣味?ですので、今年も福井マラソンrunこないかなぁ。
 
ところで、先週末から今日までお休みをいただきましてご迷惑をおかけしました。明日から通常診療です。がんばりますhappy02
 
(院長)
 
appleこの発表の記事
 
banana昨年の福井での講演のブログ:椛島先生講演
 

2013年9月12日 (木)

福井皮膚科ジョイントセミナー

昨日は、福井皮膚科ジョイントセミナーがありました。これは福井日赤と当院が主催して、京大の若手(時にベテラン)研究者を呼んで最先端の研究を勉強しようという会です。
 
今回は、薬疹アトピー性皮膚炎(以下アトピー)で今売り出し中の研究者である中島沙恵子先生をお呼びして勉強しました。

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この前出産された生後1ヶ月ほどのお子さんを抱いて発表してくれましたcoldsweats024人のお子さんの母親で、かつバリバリの研究者というのが凄いですhappy02

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アトピーの発症に関わっているかもしれないサイトカインの研究の話や重症薬診の早期診断について教えてもらいました。内容は、最先端の発表前のものが含まれていますのでマル秘secretです。
 
彼女もアトピーで(といってもきれいにコントロールされていますが)、遺伝子検査でフィラグリンの異常が見つかっているそうです。それで、当ブログ(アトピーの発症は予防できるで述べているようにお子さんの生後早期からの保湿治療を開始してアトピー発症予防治療を行っているそうです。
 
現在4人のお子さん全員がアトピーを発症されていないとのことです。すばらしいhappy02
 
最後は全員で記念撮影camerashine

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(院長)

  

2013年6月28日 (金)

小児アトピー性皮膚炎の講演会

昨日は、小児科と皮膚科の合同の講演会に行ってきました。
 
講演は、福井医大小児科 大嶋教授による小児アトピー性皮膚炎の治療についてでした。
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内容は、本ブログでもよく言っている、プロアクティブ治療の有効性食物アレルゲンの検査や食餌制限より外用治療を優先すること、早期の保湿治療の開始によるアトピー性皮膚炎の予防などなどでした。
 
小児科の講演はあまり聞かないので、興味深ったですねhappy01
 
治療開始からいきなり食物アレルギーの血液検査をして食餌制限をするようなことは厳に慎むようにおっしゃっていましたね。むやみに食餌制限をして食物アレルギーのアウトグロー(自然治癒)を阻害しないようにとのことでした。
 
それと、プロアクティブ療法で食物アレルゲンのIgEが下がるだけでなく、気管支過敏性が低下して喘息などがよくなるなどを述べられていました。
 
これについては、当院でも実感していました。プロアクティブ療法中の小児は、喘息がよくなり、風邪も引かなくなったとよく母親にいわれます。やはりそうなんですねhappy02
 
外来が多くて疲れていたので行こうか迷っていたのですが、行ってよかったです。勉強になりましたhappy01
 
(院長)
 

2013年6月 2日 (日)

京都で学会発表

昨日は、京都での学会発表のため午後診を休診にさせていただき、ご迷惑をおかけしました。
 
日本皮膚科学会京滋地方会で、「当院における尋常性白斑の治療」という題で発表してきましたhappy01
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発表内容は、①エキシマライト光線療法の有効性、②エキシマライトと1mm植皮併用療法の効果、③???・レーザーとエキシマライト併用療法の可能性、などです(???は、まだ企業秘密secretです。出席者は知っていますけどねsmile)。
 
発表後も色々と質問があり、一応好評であったようですhappy02
 
ちなみに発表の最後の写真は、越前海岸壁石浜(かぶしはま)からみられる漁り火の写真です。気に入っているので学会発表や講演ではいつもこれを出していますwink
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ダイビングで1000本以上は潜っている場所ですので、この写真をみると海底mistが透けてみえるようです。あと1ヶ月で潜れるかと思うとワクワクしますねhappy02(私は、寒い海は苦手ですのでshock
 
 
学会終了後、京大医局関係者のカンファレンスが別の場所であり、アトピー性皮膚炎の講演を2題ききました。
 
2題のうち1題は、以前福井日赤にもおられた中島(旧姓藤川)先生の研究成果の講演でした。立派な発表で勉強になりましたhappy02
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お腹には、4人目のお子さんがおられるそうです。子育てに研究にとすごい人ですhappy01彼女と一緒に働いていたころが懐かしいですねhappy01
 
ところで当院のアトピー性皮膚炎治療は、基本的にプロアクティブ療法を採用しています。この治療中の患者さんは一見症状はありませんが、血液データ(TARCなど)は完全には改善していません。
 
(当院でプロアクティブ療法中の患者さんが)勝手に他院を受診して、「医師から症状がないから薬は塗らなくてもよいといわれたが、(当院と言っていることが違うので)どういうことか?」との問い合わせがたまにあります。それで塗るのをやめるのなら、リアクティブ療法です。
 
意味もなく塗らしているわけではありません。プロアクティブ療法とは何か? 以前のブログhttp://clinic-n.mitelog.jp/blog/2013/01/tarc-9633.html )を参照してください。
 
 
学会から帰ってきて、クリニックを見にいくと、玄関の青紅葉がライトに照らされてきれいでしたhappy01
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さぁ、明日からも診療がんばるぞ!
 
(院長)
 
flair休診情報
 
日本皮膚科学会総会(横浜)に出席のため、6月14日(金)午後の診察(午前診察はあります)および6月15日(土)全日休診です。
 
日本美容皮膚科学会(神戸)で講演のため、8月10日(土)は全日休診です。
 
ご迷惑をおかけ致します。
 

2013年4月 8日 (月)

タイトケアとルーズケア

ここ数日、小児から大人までアトピー性皮膚炎の方が多く来院されていました。8割は完全寛解scissorsに至っている患者さんでしたねhappy01長期完全寛解から治療終了した方も数人いましたhappy01
 
完全寛解している患者さんは、全員プロアクティブ治療です。これについては、以前のブログ(http://clinic-n.mitelog.jp/blog/2013/01/tarc-9633.html)を参照にし下さい。
 
下写真は、一昨日受診されたプロアクティブ治療中の患者さんの初診時(2013/02/19)のものです。TARC 4256 pg/mlでした。2−3年間ほどの脱ステロイドをして我慢できなくなり受診されました。
 
お肌はぼろぼろでドス黒くなっていますcoldsweats022−3年もあれば、プロアクティブ治療で症状もなく脱ステロイドできていたんじゃないのcoldsweats01ってことで治療開始ですhappy01
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下写真は、2013/03/07でTARC 858 pg/mlとなり綺麗なお肌になりました。一昨日受診時はもっと綺麗になっており、外用剤の連日外用(毎日塗る)から隔日外用(一日おきに塗る)へと変更を指示しました。
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症状もなく、受診間隔もこの辺りから3−4週間になるので、みなさんコンプライアンスが悪化しがちです。よって厳しく外用指導しました。このようにしっかりと管理してアトピーを克服していく治療をタイトケアshineと言います。
 
 
最近一番問題なのが、ブログを読んでプロアクティブ治療を希望される方が多いのですが、通っては来ないし、ぬり薬も調子が悪いときしか塗らない方が結構おられることです。
 
このようなルーズな治療をルーズケアsadと呼んでいます。こんなケアでは、徐々に悪化していくケースが多いのですwobbly
 
中には、注意すると怒る方がたまにおられますwobbly「じゃ、ルーズケアでいきますか?」というと「いやだ!」とごねる方も。もうすでにルーズなんですけどね・・・coldsweats01
 
それと、もの凄くルーズなのに「なかなかよくならない」と訴えられる方もたまにおられますwobblyこれはディフェリンにきび治療でもたまにあることですcoldsweats01
 
多少のルーズなら軽く注意するぐらいですが、目にあまる程のルーズな状態は厳しく注意しますのでご理解ください。あまり注意はしたくないので、あまりにルーズな状態の放置はご勘弁くださいcoldsweats01
 
(院長)
 
*小児については、母親がしっかりしているので、ほぼ100%タイトケアですが、成人はタイトケアと言える方は半分以下ですね。目に余るほどルーズな方は、極めて少ないのですが、最近徐々に増えて来ているのが気になります。
 
休診情報
4月20日(土)は、研究会出席(東京)のため臨時休診.。4月19日(金)は午後5時まで受付です。
*日本皮膚科学会総会(横浜)のため、6月14日(金)午後(午前診察はあります)および6月15日(土)全日休診
ご迷惑をおかけします。

 

 

2013年2月17日 (日)

アトピー性皮膚炎のプロアクティブ治療

前回のアトピー性皮膚炎(以下アトピー)のブログで、TARC(ターク)を使用したプロアクティブ治療という最新の治療法を紹介しましたhappy01
 
当院では、多くの患者さんがこの治療法でコントロールされ、完全寛解している方も大勢おられます。特に小児は、母親がきっちりと外用してくれるため治療がスムーズですねhappy02
 
ここ最近受診された現在プロアクティブ治療中の患者さんを紹介しましょうhappy01
 
下写真の患者さんは、他院でステロイド外用治療を中心に、調子の悪いときだけ外用するリアクティブ治療が行われていました。IgE 7930 IU/ml、TARC 7755 pg/mlと凄まじいですねshock
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全身色素沈着でドス黒くなっていますcrying これをステロイドの副作用と誤解している方が多いので困りますね。単にアトピーコントロール不良なだけなんですけどねcoldsweats01
 
で、治療をプロアクティブ治療に変更しました。IgE 3058 IU/ml、TARC  616 pg/mlまで下がりました。ステロイド軟膏を使用していますが、肌は白く綺麗にshineなりましたね。彼は昨日も受診され、もうこの状態を8ヶ月間維持しています。現在の目標は、IgE<1000 IU/ml、TARC<500 pg/ml。
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これだけ綺麗になれば、仕事も恋愛もばっちりですねwink プロアクティブ治療で薬物療法離脱と寛解維持の両立をめざしてくださいgood
 
次の方は、前回も紹介した方ですね。IgE 3867 IU/ml、TARC  7023 pg/ml。この方もリアクティブ治療が行われていました。
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プロアクティブ治療に変更してIgE 1250 IU/ml、TARC  859 pg/mlとなり、お肌は真っ白shineです。「ステロイド軟膏でお肌が黒くなる。」真っ赤なであることがわかりますthink
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TARC 500 pg/mlに達していないのでまだ完全寛解とはいえず、先週受診時はインフルエンザにかかって、やや痒みがぶり返しているようでしたcoldsweats01IgE<1000 IU/ml、TARC<500 pg/mlを目標に完全寛解をめざして頑張って下さいwink
 
本人の承諾が得られれば、今後もプロアクティブ治療中の他の患者さんを紹介したいと思います。
 
(院長)
 
*小児は、TRACなど測らずともほぼ全員が寛解状態になり、多くの方が完全寛解になっています。これは母親が努力してしっかりと外用してくれるためですね。みなさんまじめです。成人の方は、なかなかコンプライアンス(アドヒアランス)が保てない方が多いです。よって、定期的に受診されないので、仕方なくリアクティブ治療になっている方も大勢おられます。
 

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2013年1月12日 (土)

TARCを使用したアトピー性皮膚炎の治療

本日は、TARC(ターク)を使ったアトピー性皮膚炎(以下アトピー)治療について解説したいと思います。通院患者さん用に書いたもので、やや難解ですがご容赦ください。
 
当院では、特に重症の成人アトピーの患者さんにTARCを使ったプロアクティブ治療を導入しています。
 
 
(1) TARCとは一体なんでしょうか?
 
TARCとは、Thymus and Activation-Regulated Chemokineの略で、アトピーの患者さんの皮膚から過剰産生されている皮膚の炎症を引き起こす物質(正確にはアトピーの炎症を引き起こすTh2細胞(リンパ球)を病変部に引き寄せるケモカイン)です。外用治療で皮膚が正常になってくると低下していきます。よって、治療効果や重症度の判定に有効です① 自分のアトピーの重症度が数値ででてくるのですhappy02
 
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(塩野義製薬ホームページより引用)
 
しかしもっとも大切なことは、治療によってTARCが十分に低下すれば目標500 pg/ml以下「症状が全くない寛解した状態にする」ことができます②happy02そして長期間この状態を維持すれば、本当に完治してしまう方もおられますgoodこの長期間の維持に導入される方法こそがプロアクティブ治療shineであり、近年その有効性が確認されてきています③
 
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(2) プロアクティブ治療の実際
 
(a) アトピーの皮膚は、炎症細胞が浸潤して各種サイトカインを放出し、あたかも火事のように炎症が起こっています(下図(a)および下写真)。この部分の表皮細胞からはTARCが放出され、さらに炎症細胞を引き寄せるという悪循環が起こっています(TARCサイクル)。
Photo
 
下写真 11才男性 12/03/22 (IgE: 3867, TARC: 7023) 
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(b) 薬物治療(ステロイド軟膏やプロトピック軟膏)にて一旦症状は無くなりますが、皮膚の下には炎症細胞が残っており、薬物治療をやめるとすぐにぶり返します(下図(b)および下写真)。TARCは、まだ500pg/mlには達していません。ここでやめれば、TARCが上昇して再燃悪化してしまいます。元の木阿弥ですshockここで薬物療法をいきなり止めずに、しかし徐々に離脱をはかって行きますhappy01
Photo
 
上写真と同一人物 12/12/10 (IgE: 1250, TARC: 856) 
現在症状は軽微であり、次に述べる(c)完全寛解をめざしプロアクティブ治療中
Img_2210
 
(c) 外用のレベルを下げるか、あるいは頻度を下げながら徐々に薬物療法を離脱し、かつTARCを下げていきます。TARCが500pg/mlを切ってくると少々のことでは悪化しませんので、大胆に外用頻度を下げて行くことも可能です。週1〜2回の薬物療法まで持って行くことが当面のゴールです。これは下図 (c) の状態であり、この状態をできるかぎり維持しましょう。いつか外用がいらなくなる日までwink
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以上のように、TARCサイクルに陥らない様に、症状がないにもかかわず積極的に外用継続(しかし、徐々に薬物療法離脱)して寛解状態を維持して行く方法をプロアクティブ治療shineといいます。症状があるときだけ(あわててsweat01)外用する方法は、リアクティブ治療といいます。プロアクティブ治療の方が、結局は少ない外用量で寛解状態を長く維持できるだけでなく、長期寛解から治癒の可能性もでてきます②③happy01
 
上記のプロアクティブ治療の図は、第61回日本アレルギー学会春期学術大会 福家辰樹氏(浜松医科大学小児科)の発表より引用(一部改)。写真は当院通院中の患者さんのもの。
 
通院中の患者さんは、是非(C)の完全寛解をめざして頑張って下さいhappy01次回のアトピーに関するブログでは、実際のプロアクティブ治療中の患者さんを紹介したいと思います。
 
(参考文献)
①玉置邦彦ら:日本皮膚科学会雑誌 2006; 116: 27‐39.
②片岡葉子ら: 皮膚の科学 2012; 11(1): 2‐11.
③Schmitt J et al: Br J Dermatol. 2011; 164: 415‐28.
 
(院長)
 
TARCは、英語読みでは「ターク」ですが、これを発見した塩野義製薬からは「タルク」と呼んで下さいとのことでした。しかし、「ターク」が多数派になりつつあります。
 

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2012年7月28日 (土)

ピーナッツアレルギーの話題2

前回の話題は、ピーナッツアレルギー(Peanuts allergy: PA)の疫学調査から、食事制限食物アレルギー発症のリスクを高めるかもしれないというお話でしたthink


今日の話題は、落花生油(ピーナッツオイル)についてです。
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落花生油(ピーナッツオイル)のクリームを体にぬっている子供にPAが多いという報告です①confident

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これは、食物アレルギーは皮膚から入る食物(アレルゲン)が原因で発症する可能性が高いことを示しています。


くしくもこれを「お茶石けん」が証明したのは記憶に新しいことと思いますshockshock


お茶石けんに含まれていた加水分解小麦の粘膜(目や鼻)や皮膚からの侵入が、重篤な小麦アレルギーを引き起こしてしまった事件ですねweep


これらのことから近年注目を浴びているのが、Lack G先生の二重アレルゲン曝露仮説 です(下図)②happy01

Piis00916749080077811gr1lrg


食物アレルゲンの経口摂取(oral exposure:経口暴露)は、食物アレルギーの発症を抑制(tolerance)し、皮膚からの食物の侵入(cutaneous exposure:皮膚暴露)は食物アレルギー(allergy)を引き起こすという考えですflair


またこれは、皮膚からの食べ物の侵入を防げば、食物アレルギーの発症も防げる可能性を示唆しています。happy02② 


この侵入経路でもっとも注目されているのが乳児湿疹や乳児アトピー性皮膚炎(以下アトピー)なんですね①②confident


これは、外用治療を全くしていないアトピーの小児のお肌ですが、もう皮膚バリアがぼろぼろですねcoldsweats02 この肌じゃ、食べ物(例えばビスケットの屑など)やほこりなどアレルゲンがどんどん皮膚の中に入って行きそうですねweep

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実際に、乳児期早期から適切な外用治療(ステロイド軟膏や保湿剤などのぬり薬)で皮膚のバリアを改善させると、食物(アレルゲン)の皮膚からの侵入が少なくなり食物アレルギー発症を回避させる可能性が報告されてきています②③④


さらに外用治療でアトピーだけでなく食物アレルギーそのものも改善し、特異的IgEも低下することが報告されていますhappy02


以上のことから、食物アレルギーのもっとも有効かつ安全な予防法は、乳児期早期からの外用治療であるようですwink


外用治療が不十分な乳児湿疹乳児アトピーの子を持つ親御さんが、すぐに食事制限をしたがるのを制して、まずぬり薬ですと外来で強く強調しているのは以上の理由からなんですwink


(参考文献)
①Lack G et al.: N Engl J Med 2003; 348:977-85.
②Lack G : J Allergy Clin Immunol 2008; 121: 1331-6. 
③Simpson EL, et al.: J Am Acad Dermatol 2010;63:587-93.
④片岡葉子: 第111回 日本皮膚科学会総会 教育講演34

(院長)


danger今回の記事とは関係ありませんが、夏休みでもあり現在レーザーおよび手術(ほくろやシミとり、良性腫瘍の切除など)の予約が2ヶ月先までいっぱいですcoldsweats01 お急ぎでなければ秋以降に予約が減ってきますのでその時期の受診をお勧めしますhappy01 お急ぎの方は、私が信頼をおいている形成外科医あるいは皮膚科医に紹介させていただきますhappy02 電話でのご相談はお受けしておりませんのでご遠慮くださいwink


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2012年7月21日 (土)

ピーナッツアレルギーの話題

食物アレルギーのなかでもピーナッツアレルギー(Peanuts allergy: PA)は欧米ではもっとも深刻ですthink

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なぜなら、アナフィラキシーなどの重篤な症状を引き起こす上に患者数が年々増えてきているためですshock


それに、欧米人はピーナッツバター大好きですからね〜wink ちなみに当院師長の大好物heart04でもあります。

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このPAの疫学調査から食物アレルギーの概念が大きく変わろうとしていますcoldsweats02


今回のお話は、イスラエルと英国の小児(ユダヤ人)に対するPAの疫学調査についてです。


「離乳期からピーナッツ製品を普通に摂取しているイスラエルの小児に比べ、ピーナッツを摂取制限している英国の小児のほうがピーナッツアレルギーが10倍多い。」という驚くべき調査結果がでています(下図)coldsweats02②③

Img_2858


近年、妊娠や授乳期間中の食事制限は、食物アレルギーの予防には効果がないことがわかってきていますが④⑤⑥、


今回の調査結果は、予防としての食事制限はむしろ害になる可能性を示唆していますshock


この真偽をはっきりさせるために、数年前からある大規模臨床試験(The LEAP Study: learning early about peanut allergyが開始されています。


離乳期から3才までピーナッツを食べるグループと食べないグループに分けて、PAの発症に差がでるかを調査しています。


来年2013年にその結果がでますhappy02 この結果次第では食物アレルギーの指導が大きく変わるかもしれませんねwink
-

-

(参考文献)
①Sicherer SH: J Allergy Clin Immunol 2010; 125: 1322‐6.
②Du Toit G et al.: J Allergy Clin Immunol 2008; 122: 984‐91.
③Gideon Lack: How does food allergy develop?
④Fox AT et al.: J Allergy Clin Immunol 2009; 123: 417‐23.
⑤Gideon Lack et al.: N Engl J Med 2003; 348:977-85.
⑥Verhasselt V: Mucosal Immunology 2010;25:326–33.


(院長)

tulip現在重症の食物アレルギーを持っている方は、食事制限が必要です。

apple食事制限は、緊急避難的な手段としての意味合いしかありません。これで、アトピーや食物アレルギーが治るわけではないのです。むしろ食物アレルギーの発症を増大させているかもしれないというのが今回のお話でした。ですから、重症でもない乳児湿疹や血液検査の結果だけで食事制限をはじめることは厳に慎まなくていけません。

danger今回の記事とは関係ありませんが、夏休みでもあり現在レーザーおよび手術(ほくろやシミとり、良性腫瘍の切除など)の予約が2ヶ月先までいっぱいですcoldsweats01 お急ぎでなければ秋以降に予約が減ってきますのでその時期の受診をお勧めしますhappy01 お急ぎの方は、私が信頼をおいている形成外科医あるいは皮膚科医に紹介させていただきますhappy02。電話でのご相談はお受けしておりませんのでご遠慮くださいwink


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