カテゴリ「アトピー性皮膚炎」の72件の記事 Feed

2022年7月15日 (金)

保湿はアトピーを予防するのか?

2020年、有名な医学雑誌ランセットに、
 
The Beep studyの結果が報告されました[1]
 
この調査は、
 
『保湿治療は、アトピー性皮膚炎の発症を予防するのか?』
 
という疑問を解決するために行われました。
 
報告の結論は、
 
「Our study shows that families with eczema, asthma, or allergic rhinitis should not use daily emollients to try and prevent eczema in their newborn.」
 
予防効果はないので、
 
アトピー予防の目的で、新生児に毎日保湿すべきではない。」
 
むしろ最近、
 
アトピーのザラザラ肌(アトピックドライスキン)
 
単なる乾燥肌と勘違いして保湿だけしている
 
小児が結構います。
 
当然アトピーは悪化して行きます。
 
あまり保湿を過信しないことです。
 
保湿が、アトピーの皮疹を治すエビデンスはありません。
 
今回のランセットの報告で、
 
予防効果も怪しいということになってきましたshock
 
では、保湿が全く必要がないかというと
 
そうではありません。
 
使用する時期が大切なのです。
 
プロアクティブ療法で保湿が必要な時期とはいつか?
 
このブログでいつか紹介します。
 
すぐ知りたい方は、診察時にお尋ねくださいwink
 
(参考文献)
[1] Chalmers JR, et al. Lancet 395(3): 962-972, 2020
 
(院長)

2022年6月17日 (金)

アトピー性皮膚炎診療の最前線

先日、京都グランビアホテル
 
アトピー性皮膚炎治療WEB講演を行いましたhappy02
 
内容は、外用療法(プロアクティブ療法など)
 
デュピクセント(デュピルマブ)治療についてです。
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座長を滋賀県立総合病院皮膚科科長の中川先生(下写真左端)にお願いしました。
 
彼は、福井赤十字病院皮膚科hospitalの元部長でもありますsmile
 
久しぶりの再会で懐かしかったhappy02
Img_4696
 
私の講演後に、
 
デュピクセントを含めたアトピー性皮膚炎治療全般について、
 
パネルディスカッションをしました。
 
結構有意義な議論ができましたhappy02
 
丁度、医学雑誌Monthly Book Dermaに掲載予定の
 
特集号「アトピー性皮膚炎診療の最前線」
 
分担執筆『クリニックのデュピクセント使用』
 
を脱稿したばかりでしたsmile
 
よって、タイムリーな話題を提供できたと思いますhappy01
 
近年、アトピー性皮膚炎治療薬が次々と開発され、
 
もうアトピー性皮膚炎の寛解(皮疹が無い状態)は、 
 
当たり前の時代になってきました(下図)。
Photo
 
これらの薬剤の中でも
 
デュピクセントが特に優れていると思うのは、
 
長く使えば使うほどに有効性が上がり、 
 
安全性も高まるというところです[1,2]
 
さらに、中止後もリバウンドが無いばかりか、
 
長期に寛解を維持できるという点も優れています。
 
これらの点が、最近発売されたJAK阻害剤との大きな違いです。
 
ところで、この前の総会では、
 
サノフィの企業ブースに、 
 
我々が作ったデュピクセントの冊子が置かれていました。
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これは、患者さんへのIC用に作成しましたが、
 
スタッフ教育にも使用できます。
 
詳しい使用方法は、また講演で解説しますhappy01
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(文献)
[1] Beck LA, Thaçi D, Deleuran M, et al.Dupilumab Provides Favorable Safety and Sustained Efficacy for up to 3 Years in an Open‐Label Study of Adults with Moderate‐to‐Severe Atopic Dermatitis. Am J Clin Dermatol, 21(4):567-577, 2020.
 
[2] Beck LA, Deleuran M, Bissonnette R, et al. Dupilumab Provides Acceptable Safety and Sustained Efficacy for up to 4 Years in an Open-Label Study of Adults with Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis. Am J Clin Dermatol. 2022.
 
(院長)
 
*講演のパネラーは、以上の他に大津赤十字病院皮膚科副部長の笹橋先生と長浜赤十字病院皮膚科部長の川端先生にお願いしました。先生方ありがとうございました。
 

2022年5月 1日 (日)

進化するアトピー治療

先週日曜日は、第38回日本臨床皮膚科医会総会
 
アトピー性皮膚炎(以下アトピー)の新しい外用薬
 
コムクロシャンプーの講演をしました。
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ショートコンタクトプロアクティブ療法という
 
新しい概念がふんだんに使われた外用剤です。
 
さらにこの講演3日後に、茨城県で
 
アトピー治療薬デュピルマブの講演をしました。
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デュピルマブは、
 
アトピーを引き起こすtype2サイトカインを抑える薬剤で、
 
物凄く効果が高いにもかかわらず、
 
副作用が非常に少ない画期的な薬剤です。
 
どちらも福井からのWEB配信による講演です。
 
アトピー治療薬は、下図のように目覚しく進歩してきました。
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治療は、症状の緩和から寛解(症状の無い状態)へ導く時代になりました。
 
下図は、昨年改定されたガイドラインの
 
診断治療アルゴリズムです。
001_2
  
今では、子供ならほぼ全員、大人でも8割以上は
 
寛解維持に持ち込めます。 
 
しかし、デュピルマブをはじめてとした新薬や
 
上述のアルゴリズムが全国に普及するまでには
 
もう少し時間がかかりそうですねcoldsweats01
 
(院長)
 
*上述の寛解維持の割合は、アドヒアランスが十分に保たれていることが前提です。
 

2022年4月22日 (金)

明日から鹿児島で学会

 
明日から鹿児島で開催されます。
 
昨年は、ざ瘡(にきび)治療で講演したのですが、
 
今年は、アトピー性皮膚炎の外用療法で講演しますhappy02
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アトピー性皮膚炎の頭部湿疹は、
 
頭髪があるために病変の範囲がわかりにくく、
 
外用剤も塗りづらいcrying
 
そのため寛解導入が不十分になり易いweep
 
シャンプー剤であるコムクロシャンプーは、
 
シャンプーであるが故に塗り残しがなく、
 
寛解導入が容易で、
 
プロアクティブ療法にも有効というデータが出ている。
 
その上、薬剤を洗い流す(short contact therapy)ため
 
副作用がほとんどない。
 
講演では、この新しい外用療法を紹介したいと思います。
 
(院長)
 
danger明日4月23日(土)は、学会のため休診です。
 
 

2021年11月16日 (火)

小児アトピー性皮膚炎の重症化予防

先週水曜日は、
 
北海道アトピー性皮膚炎(以下アトピー)の講演でした。
 
今回も福井からの配信です。北海道行きたかったなぁ〜crying
 
写真は、講演前の打ち合わせです。楽しいそうでしょsmile
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今週水曜日もアトピーの講演が西日本であります。
 
講演が、年内あと4つです。ラストスパート頑張りますgood
 
 
ところで今回は、
 
小児アトピーの重症化予防についてお話をしましょう。
 
当院には、小児アトピーの患者さんが大勢通院されています。
 
初診時かなり重症の患者さんも少なくありませんcrying
 
そのほとんどは、無計画な治療による重症化ですwobbly
 
アトピーは良くなったり、悪くなったりするため、
 
どうしても悪い時だけ塗る治療になりがちです。
 
しかし、
 
アトピーは、乳幼児では食物アレルギーを引き起こし、
 
その後に続く喘息などのアトピーマーチの源流になり、
 
学童期では学業及び心身の発達にも影響し、
 
成人になると就労困難などの社会的な不利益にもつながる疾患ですwobbly
 
もう、その人の人生における損失は凄まじいshockshock
 
だからこそ、小児のうちに計画的に治療を開始し、
 
塗り方、塗る量、塗る頻度、通院間隔等を守って
 
重症化を予防し、
 
完全寛解からアウトグロー(治った状態)へ導きましょうhappy02
 
001
 
(院長)
 
*完全寛解:ステロイドなどの外用なしで、皮疹が全くない状態を維持していること。
 

2021年10月19日 (火)

アトピー性皮膚炎の講演 in 岡山

先週の水曜日もアトピー性皮膚炎の講演をしましたhappy01
 
今回は、岡山です。
 
といっても、WEB講演で福井からの配信ですが・・coldsweats01
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下図は、アトピー性皮膚炎治療薬の変遷のスライドです。
 
この中でも、ステロイド外用剤は未だに主力の治療薬で、
 
半世紀以上も使用され、その安全性と有効性は確立しています。
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最近では、ステロイド外用剤による
 
プロアクティブ療法(下図)が開発され、多くの患者さんが
 
寛解(Remission)維持を目指せるようになってきましたhappy02
Dup001
   
寛解維持:薬を使って症状が無い状態が維持されていること
完全寛解:薬無しで症状が無い状態が維持されていること
 
しかしそれでも、完全寛解となると
 
長期の厳しい管理(tight control)が必要です。
 
これがなかなか大変なんです。
 
小児は、母親がしっかり管理してくれるので、
 
寛解維持はほぼできますgood
 
完全寛解もかなりの確率で可能です。
 
しかし、大人では・・coldsweats01
 
そしていよいよ、2018年にデュピクセントが上市され、
 
この完全寛解を容易に目指せる時代が到来してきました。
 
この薬剤は決して重症アトピーだけの治療薬ではありません。
 
例えば、中等症でも完全寛解に至らない方、
 
長年のアトピーで荒れた肌を美しくしたい方なども
 
適応条件(EASI 16以上など)が合えば治療可能です。
 
デュピクセントは、
 
プロアクティブ療法を補完する薬剤なのです。
 
デュピクセントで究極のプロアクティブ療法を目指し、
 
アトピー完全寛解を目指しましょうhappy02
 
(院長)
 

2021年9月26日 (日)

アトピー性皮膚炎治療の講演 in 新潟

先日の水曜日は、新潟の皮膚科の先生方を対象に
 
アトピー性皮膚炎(以下アトピー)WEB講演を行いました。
 
今回も師長とコラボですhappy01
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私の講演では、
 
プロアクティブ療法デュピクセント治療を中心に、
 
中等症以上のアトピーの治療戦略をお話しましたwink
 
そして師長は、デュピクセント導入時
 
看護サイドの役割を具体的に解説しました。
 
これがかなり好評だったようですhappy01
 
次回は、10/6に滋賀県で開催予定です。もちろんWEBです。
 
当院では、プロアクティブ療法アトピー治療の中心に置いています。
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小児は、ほぼ全例プロアクティブ療法です。
 
外用頻度や外用量などを長期間厳しく管理されるため、
 
結構大変です。
 
でも小児の場合は、
 
母親がしっかり管理してくれるのでまずうまくいきますgood
 
しかし大人の場合は、その管理がかなり難しいshock
 
そもそも、IgEやTARCが1万以上の拗れている方が多く、
 
さらに長期間定期的に通院できる方も少ないcrying
 
中等症以上の大人のアトピーで、
 
プロアクティブ療法がうまく導入できている方は半分程度でしょうかcrying
 
しかし、デュピクセントを併用すると、
 
その長期の難しい管理を、
 
短期で容易なものにしてくれますhappy02
 
塗り薬が必要ない、綺麗なツルツルの肌(完全寛解)になればこの治療は終了です。
 
素晴らしい薬剤ですが、
 
導入のノウハウがわからず躊躇している医療機関が結構多いらしい。
 
そういった医療機関のために、しばらく講演が続きます。
 
 
(院長)
 
10月の土曜日午前診の応援医師は10月2日のみです。
 
10月 2日 登谷医師(女性医師)
 

2021年9月17日 (金)

アトピー性皮膚炎の講演ラッシュ!

来週から年末まで講演がずーと続くため、
 
休日は、その準備で1日中書斎に篭っていますdespair 
 
考えが行き詰まったら近くの足羽川まで散歩ですhappy01
 
先日の水曜日は、
 
晴天でしたが風があって気持ちよかったですねhappy02
 
秋の匂いがしましたmaple
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さて来週9/22は、新潟でアトピー性皮膚炎の講演があります。
 
その後、10/6滋賀、10/13岡山、10/27西日本、
 
11/10北海道、11/17西日本(2度目)と講演が続きますcoldsweats02
 
ただし、全てWEB講演ですけどねcoldsweats01
 
講演では、プロアクティブ療法デュピクセントなど、
 
最新のアトピー性皮膚炎治療について述べていきたいと思います。
 
特にデュピクセントの絶大な効果をメインにお話ししますwink
 
これで寛解できないアトピーはほとんど無くなりました。
 
そして、中止後も長期に寛解維持ができ、
 
副作用もほとんどない。
 
ここが、他の薬剤との決定的な違いです。
 
ただし、この薬剤単独で治療を開始するとうまくいきません。
 
必ず外用療法の併用が必要です。
 
特にプロアクティブ療法との併用がお勧めです。
 
それぞれ単独よりはるかに寛解率が高いgood
 
講演では、開業医ならではの治療の工夫やコツをお話しできたらと思っています。
 
(院長)
 
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2021年7月17日 (土)

アトピー治療のプロアクティブ療法で大切なところ

当院のアトピー性皮膚炎(以下アトピー)治療は、
 
プロアクティブ療法を中心に行っています。
 
この治療法は、今のところ、
 
外用療法単独で完全寛解(ほぼ治癒した状態)
 
導ける唯一の方法だと思っています。
 
下図の様に、外用(ピンク)をしっかり塗って(step1,2)、
 
remission(寛解;皮疹がない状態)を得て、
 
外用頻度を徐々に減らしていく(漸減;step3)方法です[1]
Dup5001
 
特に大切なのが、寛解導入・維持(Step 1,2)です。
 
この時期に、しっかり外用して
 
皮疹がほとんどない状態にする必要がありますhappy02
 
ここをいい加減にすると治療が全く進みませんwobbly
  
この時期は、外用剤のレベル、量、頻度、塗布部位
 
かなり正確にまもってもらう必要があります。
 
特に小児は、1日の塗布量を秤(はかり)で計ってもらっているくらいですから。
 
それぐらい厳密な治療なのです(tight control)wink
 
昨日も、完全寛解に達し治療終了となった方が何人かおられましたgood
 
その一歩手前の1〜2週間に1回外用で
 
アトピー症状なしという患者さんも大勢いますhappy02
 
特に子供は、母親がしっかり管理してくれているので、概ねうまくいきます。
 
ただ、かなりルーズで
 
step1を何度もやり直しになる方もいますけどねcrying
 
とにかく、プロアクティブ療法は最初が肝心なのです。
 
(参考文献)
[1] Kataoka Y:Dermatology Today 2021; 41:4-11
   
(院長)
 

2021年7月 9日 (金)

アトピー性皮膚炎の全国WEB講演

一昨日は、アトピー性皮膚炎(以下アトピー)
 
全国WEBライブセミナーを行いました。
 
福井のパレスホテルから全国に配信されました。
 
平日の日中にもかかわらず、
 
2400人もの医療従事者が視聴されたそうですhappy02凄いcoldsweats02
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私の講演は、いつも越前海岸の写真から始まりますsmile
 
もう、1000本以上もダイビングで潜った海ですwink
Dup001
 
バイオテクノロジーの進歩により、
 
重症アトピーでも、
 
"長期寛解維持”が、当たり前になる時代が到来しました。
 
寛解とは、皮疹が全くない状態ですhappy02
 
副作用もほとんどない。
 
より安全に、より効果的に治療できる時代が来ていますhappy02
 
全ての中等症以上のアトピー患者さんに
 
バイオを導入したいくらいなんですが、
 
金銭的なことを含めた導入のための説明(IC)がかなり大変ですsweat01
 
よって、患者さんに的確に説明するための冊子を作りましたhappy02
Dup

師長は、この冊子の具体的な使い方を解説をしました。

この冊子は、医師用というより、
 
メディカルスタッフがICすることを想定して作られています。
 
患者さんがやる気になるためには、スタッフの協力が大変重要なのですwink
 
以上、今回のWEB講演は盛況のうちに終了しましたhappy02
 
反響はかなり大きかった様ですgood
 
これにて上半期の講演は全て終了です。 
 
これからはダイビングシーズンに入るため、当分講演はありませんsmile
 
(院長)
 

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