ピーナッツアレルギーの話題
食物アレルギーのなかでもピーナッツアレルギー(Peanuts allergy: PA)は欧米ではもっとも深刻です
なぜなら、アナフィラキシーなどの重篤な症状を引き起こす上に患者数が年々増えてきているためです①
それに、欧米人はピーナッツバター大好きですからね〜 ちなみに当院師長の大好物でもあります。
このPAの疫学調査から食物アレルギーの概念が大きく変わろうとしています
今回のお話は、イスラエルと英国の小児(ユダヤ人)に対するPAの疫学調査についてです。②
「離乳期からピーナッツ製品を普通に摂取しているイスラエルの小児に比べ、ピーナッツを摂取制限している英国の小児のほうがピーナッツアレルギーが10倍多い。」という驚くべき調査結果がでています(下図)②③
近年、妊娠や授乳期間中の食事制限は、食物アレルギーの予防には効果がないことがわかってきていますが④⑤⑥、
今回の調査結果は、予防としての食事制限はむしろ害になる可能性を示唆しています
この真偽をはっきりさせるために、数年前からある大規模臨床試験(The LEAP Study: learning early about peanut allergy)が開始されています。
離乳期から3才までピーナッツを食べるグループと食べないグループに分けて、PAの発症に差がでるかを調査しています。
来年2013年にその結果がでます この結果次第では食物アレルギーの指導が大きく変わるかもしれませんね
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(参考文献)
①Sicherer SH: J Allergy Clin Immunol 2010; 125: 1322‐6.
②Du Toit G et al.: J Allergy Clin Immunol 2008; 122: 984‐91.
③Gideon Lack: How does food allergy develop?
④Fox AT et al.: J Allergy Clin Immunol 2009; 123: 417‐23.
⑤Gideon Lack et al.: N Engl J Med 2003; 348:977-85.
⑥Verhasselt V: Mucosal Immunology 2010;25:326–33.
(院長)
現在重症の食物アレルギーを持っている方は、食事制限が必要です。
食事制限は、緊急避難的な手段としての意味合いしかありません。これで、アトピーや食物アレルギーが治るわけではないのです。むしろ食物アレルギーの発症を増大させているかもしれないというのが今回のお話でした。ですから、重症でもない乳児湿疹や血液検査の結果だけで食事制限をはじめることは厳に慎まなくていけません。
今回の記事とは関係ありませんが、夏休みでもあり現在レーザーおよび手術(ほくろやシミとり、良性腫瘍の切除など)の予約が2ヶ月先までいっぱいです お急ぎでなければ秋以降に予約が減ってきますのでその時期の受診をお勧めします お急ぎの方は、私が信頼をおいている形成外科医あるいは皮膚科医に紹介させていただきます。電話でのご相談はお受けしておりませんのでご遠慮ください