巨大化膿性肉芽腫への結紮冷凍療法












② 西村陽一:皮膚の科学 2008 ; 5(6): 440-444.

毛細血管拡張性肉芽腫(pyogenic granuloma : PG)は、日常診療でよく遭遇する血管腫の一種です。
PGの結紮療法(糸で結ぶ)は、このブログで何度か紹介しました。①②
しかし、知り合いの医師から、あまりに大きいものや小さ過ぎるものは巧くいかないと言われることがあります
今回は、それらの結紮術で巧くいかなそうなケースへのちょっとしたテクニック(?)を公開しましょう
3週間ほど前に、凄く大きなPGの方がこられました。茎部が結構太く、まあ本体もかなり大きいので結紮は難しそうです
当院は、それでも無麻酔で結紮です 結紮しても茎が太いので血流の十分な遮断ができず、虚血による変色が起こりません。
こういったケースでは、当日は液体窒素で冷凍療法を行い、後日2回目、3回目と何度も結紮します② 洗髪はOKです。
3回結紮時にようやく変色しはじめました もう一度冷凍療法を行い、1週間後に受診予約です。
これ手術を行ったら、ちとハゲますね レーザーで行ったら出血が凄いでしょう
結紮簡単でいいでしょ
これだけ大きいと悪性腫瘍と鑑別する必要があります。 ダーモスコピーと病理検査は必須です。①②
くれぐれも悪性腫瘍を結紮することのないように注意して下さいね
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次は、小児のPGです。小児の場合、このように小結節なことが多いです。結紮方法は参考文献を参照してください。②
小結節は、結紮によりすぐに虚血して変色します。よって、1回の結紮で済むことが多いのですが・・・。
このように、結紮後に少しのこってしまうケースがたまにあります
このようなケースでは、レーザーで残りを取ることも可能ですが、3ヶ月くらい待ってください。必ず消失します
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別の小結節型PGのケースです(上写真:結紮後、真中写真:PG残存、下写真:3ヶ月後)。3ヶ月でほぼ消失しています
なぜ消えて行くかは不明です。平になったので触らなくなったからでしょうか? わかりません
少し残っても慌てて処置をする必要はありません。経過をみてください。大抵は縮小していきます
(参考文献)
①Nishimura Y : Ligation therapy for pyogenic granuloma. J Dermatol. 2004 ; 31(8) : 699-700.
②西村陽一:毛細血管拡張性肉芽腫に対する結紮療法. 皮膚の科学 2008 ; 5(6): 440-444.
(院長)
:県外の方は、この治療をお断りしております。連絡もなく県外から突然受診され、治療を強要される方がおられますが、全てお断りしております。県外の方で、当院の通院指示を守ってもらえた方がほとんどおられません(1例をのぞいて)。治療に対する責任がありますのでご理解下さい。また、他県でこの治療を行っているクリニックの照会の電話が多いのですが、全くわかりませんのでご遠慮下さい。
小結節型PGが残存した場合、3ヶ月でかなり縮小しますが、完全に消えるのに半年以上かかるケースもあります。
毛細血管拡張性肉芽腫(pyogenic granuloma : PG)は、日常診療でよく遭遇する血管腫の一種です。
以前2度、この治療法(毛細血管拡張性肉芽腫の結紮療法)について詳しく紹介しましたので、この治療を希望されて来院される方が増えました
本日は、急激に大きくなった後頭部の腫瘍で受診された患者さんです。専門医であれば一目でPGを疑いますね この患者さんも前回同様に妊婦さんでした。妊婦さん多いですね
治療は通常、切除か炭酸ガスレーザーでしょうか? かなり出血しそうですね 局所麻酔もしなくてはいけません。再発もよくしますしね
しかも、妊婦さんです。
当院では、やはり結紮療法(麻酔なし)です 絹糸で結紮(結ぶ)すると腫瘍は駆血されて白くなっています。
1週間後には、きれいにとれていました。紅斑がのこっていますが、1ヶ月以内に消失します。
知り合いの医師からうまく行かなかったといわれることがあります。よく聞くと全員やり方が間違っています 簡単ですがポイントがありますので、やみくもに結紮しても失敗します。
この症例もそうですが、悪性腫瘍との鑑別のため病理検査は必須です。結紮すれば出血しませんので、組織を一部病理検査にまわしましょう
県外から1日だけで治療をしてほしいという問い合わせがかなりあります。最低でも3回以上(初診、治療の予約日、経過観察など)指定された日に受診する必要があります。よって、基本的に県外の方はお断りしております。
(院長)
毛細血管拡張性肉芽腫(pyogenic granuloma : PG)は、日常診療でよく遭遇する血管腫の一種です。ありふれた疾患ですが、治療は案外厄介です。
以前ブログで毛細血管拡張性肉芽腫の結紮療法を紹介したためか、PGの患者さんが多く来院されるようになりました
最近では、週に1〜2人は結紮療法を行っています。
先週、上背部のPGの妊婦さんが来院されました。妊娠でPGが発症し易いのは有名です。しかし、よく育ちましたね〜 通常なら手術というところでしょうが、当院では結紮療法です。
翌日には、真っ黒になっています。この大きさのものは、この時点で血流が再開することが多いので、もう1度結紮します。
1週間後、きれいに取れていました 紅斑がありますが、1〜2週間程度で消退します。特に妊婦さんには、低侵襲な治療が望ましいですからね
麻酔の必要もなく、治療は2〜3分で終了します PGに対しては、これに勝る治療法はないと思っています
簡単そうですが、コツが要ります。やみくもに結んでも失敗しますので、具体的な方法は下記論文を参照してください。
①Nishimura Y : Ligation therapy for pyogenic granuloma. J Dermatol. 2004 ; 31(8) : 699-700.
②西村陽一:毛細血管拡張性肉芽腫に対する結紮療法. 皮膚の科学 2008 ; 5(6): 440-444.
結紮療法を200例達成したら(現在102例)、三度論文にでもしょうかなぁ
(院長)
*今週土曜日は、福井赤十字病院の丸田先生が診療応援に来てくれる予定です。
毛細血管拡張性肉芽種(Pyogenic granuloma: PG)という病気があります。血管腫の一種なんですが、この治療が案外厄介です 治療法としては、炭酸ガスレーザーや手術などが一般的ですが結構再発します。
当院では、結紮術ligation therapyを行っています。単に糸で結ぶだけです。
この患者さんは、口唇のPGで今年の2月末に受診されました。通常は局所麻酔をして切除ですが、当院では糸で結ぶだけです。
5日後です。腫瘍は無くなっています。小さな穴がありますが、数日で消失しました
次の患者さんは、初めてこの治療を行った患者さんです(2003年頃)。他院で手術を予定されていて、手術以外の治療法を希望され受診されました。何かいい方法はないかと考え、本人の同意を得て麻酔なしに4−0絹糸で基部を結紮(結ぶこと)しました。
すぐに「The Journal of Dermatology」に報告しました。おそらくこの治療の日本(世界?)で最初の報告だと思います
この腫瘍は毛細血管の塊ですから、血液の供給を結紮で遮断すれば簡単に取れます(下図)
このような小児の顔面などは、手術は全身麻酔が必要ですが、結紮で簡単に(無麻酔で)とれますね。
最初の報告以来15例の経験のまとめを「皮膚の科学:第5巻、第6号、2006年」で報告、30例のまとめを日本皮膚科学会総会で発表しました。現在までに80例程度の経験をしました。ただ結ぶだけではうまくいきません。治療のテクニックは、前述の「皮膚の科学」に記載してありますので、興味のある方はそちらを読んでください
(院長)
*福島にいる友人とやっと連絡がとれました。無事でしたが、住むところはなくなったらしいです。しかし、無事でなによりでした
*受付時間変更について
4月1日より受付終了時間が15分早まり、5月より土曜日の午後診がなくなります。
受付時間:
午前診は8:15〜12:00/午後診は2:15〜18:00までになります(土曜日は16:00のままです)。
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