カテゴリ「手術」の15件の記事 Feed

2017年5月11日 (木)

粉瘤腫(表皮のう腫)の炎症症状

クリニック入口にある紅葉が、青々と生い茂っていますhappy02夏も近いなぁhappy01
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ところでここ最近、粉瘤腫(ふんりゅうしゅ、表皮のう腫)の患者さんが増えていますhappy02
 
 
多くの場合、赤く腫れて痛みを訴えられます。
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まだ波動(プニョプニョした感じsmile)が触れずに赤く腫れているだけの場合は、とりあえず痛み止めと抗生物質で様子をみることが多いですねcoldsweats01
 
しかし、大概うまくいかずに悪化していきますshock
 
この赤く腫れている部分をエコー(下写真)で見ると、囊腫(粉瘤腫の袋、黄色い点線)の一部が破れて内容物が飛び出し炎症を起こしているのが分かります(赤矢印)。
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赤く腫れている原因は、この飛び出した内容物による異物反応なのです。
 
では、この異物反応を簡単に素早く治療するにはどうすれば良いでしょうか?
 
切開排膿(切って膿を出す)をしたり、手術で嚢腫を摘出したりするのも1つの治療選択肢です。でも、簡単にとはいきませんが・・coldsweats01
 
もう一つの選択肢は、破れた箇所に少量の抗炎症剤を注射する方法です。
 
下写真は、この患者さんの注射後3日目です。発赤腫脹の改善とともに痛みは無くなったそうですgood
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多くのケースでは、翌日には炎症症状(発赤腫脹)が改善します。
 
その後は様子を見るなり、切除するなり等、治療方針を患者さんと相談します。
 
海外では、炎症除去にはこの注射が常識のようです。
 
この他にも治療のオプションは色々あります。粉瘤腫でお困りの方は、ご相談下さい。
 
(院長)
 
*すでに重症のため注射で治療できないケースもあります。特に、二次感染(細菌感染)を起こしている場合は手術が必要です。
 

2013年1月17日 (木)

レーザーを凌ぐ「くり抜き巾着術」

黒子(ほくろ)などの顔面皮膚腫瘍の治療には、大まかに分けてレーザー、電気メス(サージトロン等)、くり抜き(巾着と3つの治療法があります。
 
当院では3種類とも行えますが、私自身はくり抜き(巾着が最も優れた治療法と思っていますhappy02
 
では、今週この治療法を行った黒子(ほくろ)の患者さんで具体的に解説しましょうhappy01
 
①まず、麻酔後にトレパンという円形のくり抜き刃で黒子(ほくろ)くり抜いてしまいます。
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②くり抜かれた直後です。脂肪層までくり抜きます。よって、レーザーと違って再発はありません。
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くり抜き後に、巾着縫合という特殊な縫合をします。
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きゅっと結んで終了です。後は自宅で軟膏を塗ってもらって1週間弱で抜糸します。
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以上で10分程度です。この方の経過は、また報告しますねwink
 
切って縫うので面倒そうですが、レーザーで切る(蒸散)かメスで切るかの違いです。どちらも麻酔が必要です。術後の手間は、むしろレーザーより簡便ですwink
 
以前にくり抜き(巾着術を行った皮膚腫瘍(ケラトアカントーマ)の患者さんです。4ヶ月後には、手術の痕は全くわかりませんねhappy02すごいでしょgood
術前
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4ヶ月後
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レーザー治療に比べて決定的なアドバンテージは、再発が無いことです。そして、組織検査ができて悪性、良性の鑑別ができることです。
 
ではディスアドバンテージは何かというと、術者が面倒だということぐらいですねcoldsweats01これは、私の意見ではなく、レーザーでご高名なT大W教授が、実際に学会で質問されてお答になられたことす。
 
こんなに優秀な治療法が、レーザーに比べて不当に低評価(患者さんの間で)になっているのは嘆かわしいcryingので、知ってもらいたくて今回紹介しました。
 
(院長)
 
apple部位、大きさ、病気の種類、術者の習熟度によってレーザーやサージトロンに軍配が上がることもあります。要はどれでもできるということが大切です。こんなに大きい腫瘍は、くり抜き(巾着では無理ですからねshockこれは、炭酸ガスレーザーによる治療です。
 


YouTube: ほくろ除去2 by clinic-N

 
上動画の術前
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術後半年
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〠918-8105 福井県福井市木田3丁目2605 
にしむら皮フ科クリニックのホームページ

2011年5月22日 (日)

白斑(しろなまず)の新しい治療 〜1mm ミニグラフト療法+エキシマライト〜

前回までは、エキシマライトと1mmミニグラフト治療を紹介しました。今回は、その続編ですhappy01

腹部から1mmという極小の皮膚を採取して白斑に植え付けます。その後エキシマライトshineという特殊な紫外線を当てていくという最新の治療法です。
(上写真:2/23 手術、下写真:4/5)
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7つ植皮して4つしか残りませんでしたが、エキシマライト照射に反応して順調に色素斑が大きくなっていますhappy02
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ここまでが前回のお話。

先日2回目の植皮(5/14)を行いました。前回の反省点から方法を少し変更し、また植皮の数も17個と大幅に増やしました。
(上写真: 植皮前、下写真:植皮後)
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1週間後の写真です。創部は安定していますが、植皮の成否はまだわかりませんthink
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今後の経過をまた報告しますねwink これが成功すれば、多くの通院中の患者さんにとって朗報になると思われますconfident
当院では初めての治療法にこころよく同意してくださった患者さんに感謝いたしますhappy02
(院長)

2011年5月18日 (水)

脂肪腫(Lipoma)の治療

皮膚の下にできるできものを「皮下腫瘍」といいます。最も多いのはダントツに粉瘤腫(表皮嚢腫)ですが、次に多いのが脂肪腫ですね。

「皮下腫瘍」の手術は、いかにして小さな術創から大きなできものを取り出せるかに術者の技量がかかってきます。粉瘤腫では、くり抜き法を紹介しました。今日は、脂肪腫の治療を紹介しましょうhappy01

先日手術を行った方です。左肩の皮下腫瘍で受診され、エコー検査で脂肪腫と診断しました。
真ん中の線は切開線です。この小さな穴から腫瘍をとりだします。
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できものの周囲にゆっくりと麻酔薬を注入して、その後しっかりとマッサージをします。
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しっかりモミモミしますhappy02 これによって、麻酔液が十分に浸透するだけでなく、脂肪腫がまわりの組織から物理的に剥がされます。これが「hydrodissection」というテクニックです。
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小さな穴(切開)から、一気に腫瘍を引っぱりだします。麻酔液が十分に行き渡り、痛みは全くありませんhappy01
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ほら取れた!good
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どうです?簡単でしょhappy01 でも実は意外と難しいんですよこれがsmile
(院長)

*現在毎日皮膚皮下腫瘍の手術を2〜3件していますが、手術は1ヶ月半から2ヶ月待ちになっていますcoldsweats01 どうしても早く手術をして欲しい方には、私が信頼している皮膚外科医、形成外科医を紹介いたいします。

2011年3月31日 (木)

白斑(しろなまず)の新しい治療〜1mm ミニグラフト療法の経過〜

2/23に白斑患者さんに1mmミニグラフト療法を行いました(2/23のブログ「白斑(しろなまず)の新しい治療〜1mm ミニグラフト療法〜」を参照)。

下図のように、下腹部から1mmのグラフトを採取して患部(白斑)に移植します。
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もっとも大きな利点は、治療が簡便かつ採皮部にキズがほとんど残らないことです。下写真は、治療6日後の採皮部の写真です。キズ(→)はほとんどわかりませんgood
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治療1ヶ月後の経過をお示しします。当初色素がでず失敗したのかと思いましたが、1ヶ月後の診察時に色素斑が出現している(→)のを確認しましたhappy02
(上写真:2/23、下写真:3/22)
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この小さな色素斑が広がってくれることを祈りますhappy01

(院長)
*以前のブログにも書きましたが、福島原発はCNNで言っていた通りになってきましたweep 福井県の原発は福島よりもっと古く、耐震性も劣るとのことですshock 人ごとではありません。原発は、我々にとってまさにパンドラの箱なのかもしれません。震災のことを考えるとあまりブログを書く気になれず、かなり久しぶりの更新になりました。

2011年3月17日 (木)

結紮療法〜ligation therapy〜

毛細血管拡張性肉芽種(Pyogenic granuloma: PG)という病気があります。血管腫の一種なんですが、この治療が案外厄介ですwobbly 治療法としては、炭酸ガスレーザーや手術などが一般的ですが結構再発します。
当院では、結紮術ligation therapyを行っています。単に糸で結ぶだけです。

この患者さんは、口唇のPGで今年の2月末に受診されました。通常は局所麻酔をして切除ですが、当院では糸で結ぶだけです。
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麻酔なしで、絹糸で結紮(結ぶ)します。
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5日後です。腫瘍は無くなっています。小さな穴がありますが、数日で消失しましたgood
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次の患者さんは、初めてこの治療を行った患者さんです(2003年頃)。他院で手術を予定されていて、手術以外の治療法を希望され受診されました。何かいい方法はないかと考え、本人の同意を得て麻酔なしに4−0絹糸で基部を結紮(結ぶこと)しました。
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すると、結紮後4日目で腫瘍はものの見事にとれていました。
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すぐに「The Journal of Dermatology」に報告しました。おそらくこの治療の日本(世界?)で最初の報告だと思いますflair
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この腫瘍は毛細血管の塊ですから、血液の供給を結紮で遮断すれば簡単に取れます(下図)
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このような小児の顔面などは、手術は全身麻酔が必要ですが、結紮で簡単に(無麻酔で)とれますね。
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最初の報告以来15例の経験のまとめを「皮膚の科学:第5巻、第6号、2006年」で報告、30例のまとめを日本皮膚科学会総会で発表しました。現在までに80例程度の経験をしました。ただ結ぶだけではうまくいきません。治療のテクニックは、前述の「皮膚の科学」に記載してありますので、興味のある方はそちらを読んでくださいhappy01

(院長)

*福島にいる友人とやっと連絡がとれました。無事でしたが、住むところはなくなったらしいです。しかし、無事でなによりでしたhappy02

*受付時間変更について
4月1日より受付終了時間が15分早まり、5月より土曜日の午後診がなくなります。

受付時間:
午前診は8:15〜12:00/午後診は2:15〜18:00までになります(土曜日は16:00のままです)。

2011年1月19日 (水)

下肢静脈瘤治療 in Fukui Red Cross hospital

本日も毎週恒例の手術と症例カンファレンスでした。
またまた恒例の下肢静脈瘤手術です。中川先生(福井赤十字病院皮膚科代表、写真右)とのコンビもかれこれ4年になりますね。今後ともよろしくお願いいたしますhappy01
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手術のみで静脈瘤がほとんど消失する患者さんも多いのですが、今回はかなり重症shockで硬化術(注射で治す方法)の併用が要りそうですね。この重症の下肢静脈瘤がどのくらい綺麗になるかを、今後ブログで紹介したいと思います(本人の許可が得られればですが)happy01

福井赤十字病院の静脈瘤治療についての谷岡先生(現京都大学皮膚科講師)の論文が、『皮膚の科学』という医学雑誌に載りましたscissors 
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(院長)

*最近皮膚科学会は、分枝静脈瘤以下の小さな静脈瘤を皮膚科が担当し、大伏在型の大きなのは手放す(心臓血管外科にお願いする)ような方針ですcoldsweats02 しかし実は、前者の治療の方がはるかに難しいんですねcoldsweats01 どう難しいはいずれブログで説明します。

2011年1月12日 (水)

手術とカンファレンス

毎週水曜日は、福井赤十字病院での手術および症例カンファレンスの日です。

本日の手術は、下肢静脈瘤の再発例でした。再発といっても、10年前に私と師である立花先生(現滋賀医大准教授)とで行った患者さんです。再発の原因は、大伏在静脈の再開通でした。当時より技術は進歩しており、再開通しないように工夫secretを施しましたsmile 同じ患者さんで10年後に、今度は私が教える立場になっているのは何か感慨深いものですねconfident
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手術は、癒着がありましたがすんなり終了。これで静脈瘤と足のだるさはなくなるでしょうgood

術後は、恒例の症例カンファレンスを行いましたhappy01 みんな真剣に難治な患者さんの診断や治療方針について議論を交わしています。ここでの議論から新知見が生まれ、学会発表や論文投稿につながることも少なくありません。
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(院長)

2011年1月 5日 (水)

グロームス腫瘍〜ちょっとめずらしいできもの〜

年に2〜3人位こんな爪をした方が来られます。診断は何でしょう? 皮膚科専門医の方は常識ですねsmile 爪の縦割れの変形と爪の根元(後爪郭)のふくらみ。診断は「グロームス腫瘍」です。
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専門医だと速診断できるんですが、大抵の方はあちこちで診断がつかずに来られます。最初は無症状ですので経過をみますが、いずれ激痛となりますweep 痛みがでれば手術しましょうと言っていますhappy01 で、昨年末に手術となりました。手術は診断がつけば極めて簡単ですscissors 膨らんでいるところの爪に四角形の窓をあけて、爪床を割くと、淡いピンク色の腫瘍が顔を出しました。
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骨膜剥離子で周囲組織から剥がします。ポイントはつぶさずにきれいに取り出すことです。慣れると簡単なんですが、わりと初心者には難しいですねcoldsweats01 Img_4766
 
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爪床と後爪郭を縫って手術終了。手術時間は約20分、麻酔は指ブロックでした。 Img_4770
 
皮膚科医にとって最も重要なのは、とったものの組織像をみることです。悪性か良性かの判断も皮膚科医がします。病理医にお任せではいけませんng この組織は典型的なグロームス腫瘍ですね。良性です。爪からの悪性グロームス腫瘍は極めてまれですけどね。 _21_2 _22_2
 
カルテの病理所見には、Pathological pictures show sheets of monomorphic round cells with eosinophilic cytoplasm and edematous stroma with mucoid change. The tumor cells are distributed around open vascular lumens. No cytologic atypia is present. These findings indicate a diagnosis of solid glomus tumor.と記載しました。
 
診断から、手術、病理検査まで一貫して一人の医師が受け持てるのが、皮膚科医(皮膚外科医)の醍醐味ですねhappy02 本日この患者さんが受診されました。術後経過は良好です。爪が元通りになるにはもう数ヶ月かかりますねhappy01 (院長) *写真は本人の掲載許可を得ています。 *原因は不明ですが、多くの患者さんが指を詰めたなどの外傷を契機として発生したと言われます。機械的な刺激が、腫瘍増殖に関わっているのでしょうか?
 
(院長)

2010年12月27日 (月)

黒子(ほくろ)のレーザー治療2

2010年10月 3日 (日)のほくろ(ホクロ、黒子)のレーザー治療1で出演していただいた患者さんが久しぶりに受診されました。
炭酸ガスレーザーで3カ所(→)治療したところは、さらにわからなくなっています(本人に写真掲載許可を得ています)good
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今回はさらに、小さなほくろ(→)を取ることにしました。この程度の黒子ならば、アレックスレーザー麻酔なしで取れます
上写真:照射前、下写真:照射後1ヶ月
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アレックスレーザーとは、Qスイッチアレキサンドライトレーザーのことです。普通はシミとりに使用するレーザーですが、薄くて小さなほくろなら、出力を最大にすることによって除去することができます。麻酔の必要もなく、照射後のテープも必要ありません。
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アレックスレーザーによるほくろ治療の特徴
適応:大きさは1〜2mm程度の平坦なほくろ。よって、希望されてもできないことがあります。
利点:1度に5個程度まで治療可能。麻酔の必要がない。 照射後に軟膏を塗るだけでOK。テープを貼る必要ない。 
欠点:1度で取れないことが多く、何度かする必要あり。再発の可能性はある。


cherryこの治療の最大の利点は、麻酔の必要がなく、テープも不要なため人知れずほくろをなくせる点ですねhappy01 しかし最大の問題は、何度か治療(通常2〜3回)が必要な点です。完全に取れずに再発の可能性もあります。


まぁ最近では、ダウンタイムの短い治療が好まれますから根治をめざす必要はないのかもしれません。


apple料金設定を変更(2012年4月30日現在)しました。1カ所1回が3500円(初診料、再診料別)。ふくらみのあるほくろや、2mmより大きなほくろはこの治療には適しません。

[E:banana]この治療を行うと、際限なくほくろを取ってほしいと望まれるケースがあります。安全管理上、最大5つまでにしています。ご理解下さい。

2012/08/01記載
danger現在アレックスレーザーによるほくろ治療は中止しております。この治療はお手軽なのですが、再発の可能性と複数回治療という点で、あまり患者さんの評判がよくないようです。シミ治療は、効果が高く行っています。
(院長)

以上の内容は、2012年4月30日に一部変更しています。

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