手足口病による爪の変形と脱落













今日は、ほんとに暑かったですね既に真夏です。このクリニックの写真を撮ったのは午前9時ですが、もう汗ばむ暑さでした
前回は、手足口病の大流行についてお話しました。
今年の手足口病は、コクサッキーA6による皮疹の重症な患者さんが多いです
今年の手足口病で注意しなければいけないことが、もう1つあります。それは、爪の変形、脱落です。
コクサッキーA6による手足口病に特徴的で、発症して1−2ヶ月で爪がはがれてきます1), 2)。
下写真は、一昨日爪がおかしいということで受診された患者さんです。この子は、6月末に手足口病に罹患しました。
この子は、昨日受診の子供です。この子も6月ごろに手足口病にかかっていました。
この子の母趾は爪床剥離を起こし、ひっかけたか何かで出血してびらんになっていました。皮膚科医ですから、きれいに爪甲処置(爪切り、外用など)をしてあげました
今後、6、7月に手足口病に罹患した患者さんから、このような爪の症状を訴える方が急増してくると予想されますね
(参考文献)
1) 難波千佳,藤山幹子,橋本公二,他:手足口病後に生じた爪変形、爪脱落の集団発生.日本皮膚科学会 2010;120:754.
2) 宮本麻子,石本和久,平田留美子,他:水痘様発疹分布とonychomadesisを生じたコクサッキーA6 による手足口病のoutbreak.日本皮膚科学会 2010;120:755.
(院長)
手足口病が全国的に大流行しています。手足口病は、エンテロウイルスによる夏風邪の一種で、主に手と足と口に発疹がでます。
実はすでに、日本臨床皮膚科医会雑誌4月号に夏の大流行を予測する記事が載っていました(赤下線部)。
特徴としては、熱(無いこともある)などの感冒症状があり、それに伴って手足や口腔粘膜に紅斑〜小水疱が出現してきます。子供だけでなく、大人にもうつることがあります
典型的には、下の写真のように手と足の指紋に長軸をあわせた楕円形の水疱が特徴的です。
ほとんどのケースが軽症で1〜2週間で自然に軽快しますが、今年は非典型的な皮疹を有する重症例が割と多いですね
こんなに激しい水疱の子供もいました。
手足口病の治療上の注意点は2つ考えられます。
①エンテロウイルス71のように、髄膜炎や脳炎を併発するケースがあります。経過中に、「元気がない、頭痛、嘔吐、高熱が2日以上続く」などの症状があれば注意が必要です。幸いにして、今のところコクサッキーA6やA16が多いようです。
②今年の手足口病は症状が激しく、皮疹の二次感染(細菌感染)や、口腔粘膜症状の悪化からの経口摂取不良による脱水などが懸念されます。
予防には、便中へのウイルス排泄が長期につづくため、糞便の始末と手荒いの励行が最も大切です
手足を中心に発疹が出た場合は、すぐに皮膚科か小児科を受診しましょう。
(院長)
*上の2枚の臨床写真は、福井赤十字病院皮膚科 中川先生提供です。
*最近、爪に異常をきたす子供を見かけます。ほとんどが、手足口病発症後数週でなっています。『近年、コクサッキーA6ウイルスによる手足口病が発生した欧州では、治った数週間後につめが浮き上がってはがれたり変形したりする事例が報告されているという。感染研は日本でも今後、同様の症状がみられる可能性があるとしている。』という記事を見つけました。なるほど。
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