手足口病による爪の変形と脱落
最近、子供の爪が剥がれてきたという訴えで受診される方が多いですね。
以前のブログにも書いたことがあるのですが、これは手足口病によるものなんです。手足口病は、下写真のように手足や口に水疱ができる病気です。
過去のブログ;手足口病 大流行2〜爪の変化〜
手足口病の水疱は、長軸が皮膚紋理に一致する楕円形を呈するのが特徴です。年長児や大人では圧痛があり、歩行困難になることもあります
原因は、主に腸管で増殖するヒトエンテロウイルスです。ただし、単一ウイルスによる疾患ではなく、エンテロウイルスに属する複数のウイルスが原因となります。
2011年に大流行したコクサッキーウイルスA6(CAV6)による手足口病(下写真)はもっと重症で、38℃以上の高熱や四肢に大型の水疱を伴い、口腔粘膜病変に乏しいという特徴がありました。
さらに、CAV6による手足口病の患者さんには、約1ヶ月半後(平均41.7日後)に爪が剥がれるという症状が多く見られています
その発症機序は不明ですが、脱落した爪からCAV6のDNAが検出され、爪母細胞(爪を作る細胞)へのウイルスの直接感染で引き起こされると推測されています
今年は福井県で手足口病が大流行し、ピークは6月29日でした(下グラフ)。
全体の印象としては、CAV6によるような重症タイプの手足口病は少なかったようです。しかし、最近ちらほらと手足口病によると思われる爪の変形・脱落を訴える患者さんが受診されています。
実は、全体としてはコクサッキーA16(下グラフの黄色の部分)によるものが半分以上だったのですが、ピークのころになるとCAV6(青色の部分)の割合が非常に増えているのです
(国立感染症研究所 感染検出情報より)
昨日もほぼ全ての爪が脱落している子供が受診しました(CAV6によるものかどうかは不明ですが・・)。
現在、今年の手足口病発症のピーク(6/29)からほぼ1ヶ月半が経っています。よって、これからこのような患者さんが多数受診されることが予想されますね
基本的には、放置しても構いません。自然に綺麗な爪に入れ替わりますので安心してください
(院長)