過酸化ベンゾイル製剤(ベピオ、デュアック)の長期低用量療法
この前のシンポジウムの講演で好評だった過酸化ベンゾイル製剤の「長期低用量療法(仮)」について、今回はお話します。
ざ瘡(にきび)治療で最も難しいのは、二十歳以降の女性のにきびです。いわゆる大人にきびと言われるものです。
頤部から下顎を中心に顔の下半分を占めるざ瘡です。
しばしば痒みを伴い、引っかき傷(⬆︎)や潰したにきび痕(⬆︎⬆︎)が認められることが多いです。生理前に悪化し、生理後に改善するのも特徴です。
多くの場合、抗生剤の内服や外用を延々と行われているケースが多いですね 耐性菌対策の観点からするとかなり問題があります
当院ではまず、悪化因子の除去やスキンケア指導などでお肌を整えます。詳しくは受診してね
こういった患者さんは、非常にお肌が敏感なため、いきなり過酸化ベンゾイル製剤(ベピオやデュアック等)やアダパレン製剤(ディフェリン等)を塗ると高率に副作用が出ます
強い乾燥や刺激感(ヒリヒリなど)を訴えて脱落の原因になります。お肌が荒れている方は、少なくとも2週間はお肌が落ち着くまで様子をみます。
お肌が落ち着いたら、デュアックを極めて少量から開始します。どれ位少量で、どのように外用していくかは企業秘密です。といっても講演で全てばらしていますが・・
過酸化ベンゾイル製剤の副作用は、治療開始後2週間以内が多いので、次の2週間後のチェックは非常に大切です。そのときに、外用量も微調整します
その後は1ヶ月置きの受診です。受診時の肌の状態に合わせて徐々に外用量をアップしていきます。
3−4ヶ月もすると新たなにきびは出て来なくなります。
この頃くらいから、耐性菌対策として抗生剤の配合されていないベピオに変更します。
ベピオ変更時は乾燥が強くでることがあり、ヒルドイドローションを追加する方がよいでしょう。しかし、1−2週間程度ですぐに慣れます。
この頃でも、外用量は通常の1/4〜1/2程度と少量です。受診毎に、お肌の状態に合わせて外用量を微妙に増減します。
ここからは塗る期間に比例して、どんどんお肌が綺麗になっていきます。
いつまで続けるかですが、患者さんが満足するまでです
でも、どんどん良くなるので止めない方が多いですねにきびだけでなく、何故か肌質も改善していきますので
この外用療法を行うようになってからは、副作用で脱落する方はほとんど無になりました。
そしてさらに重要なことは、このタイプのにきびにおいて抗生剤に頼らないにきび治療ができるようになったことです
この治療の注意点として、最初の2週間隔で2(~3)回受診するところが特に大切です。ここは厳密に行わないと治療が難しくなり、かつ副作用のトラブルに見舞われてしまいます
(院長)