イボ治療のガイドライン
手足にできるウイルス性イボは、
ヒト乳頭腫ウイルスによる良性腫瘍です。
治療は、基本的に難しくありません。
しかし、爪周囲や足底にできるものはしばしば難治性です(下写真)
それ故、難治性のイボに対して色々な治療法が開発されてきました。
しかし、エビデンスのないものも数多くあります
よって最近、イボ治療のガイドラインが作成され、
治療法別に推奨度がランク付けされました[1]
推奨度A(良質なエビデンスがあり、行うよう強く勧める)は
液体窒素冷凍療法とサリチル酸外用(スピール膏)の2つ(🔴)だけです。
私は、上記表のほとんどの治療を経験しましたが、
簡便性と効果という点では、確かにこの2つがずば抜けています。
さらにその中でも、
液体窒素冷凍療法が最も効果があります。
しかしその効果は、強さ、通院頻度、併用療法の有無などで大きく異なります。
例えばある論文では、"強くする" vs "弱くする"では、
イボ消失率は、手指で69% vs 0%、
足底で20% vs 0%となっています[2][3]
注目すべきは、0%です
弱くすれば、多少長引くではなく、
消失率0%
患者さんが痛がるので弱くするのは、
結局効果なしに終わる可能性があります
足底の消失率20%は、さらにテクニックと併用療法で、
70~80%に上げられます
ただし小児は、
貼り薬のスピール膏の方が、痛みがなく、効果的です
貼り方にコツがあって、
上手くできない方がおられるのが欠点ですが・・
とにかくイボは、数が増え、他人にうつす前に
早めに治療をしましょう。
(参考文献)
[1] 日皮会誌:129(6),1265-1292,2019
[2] Br J Dermatol:171, 696―712, 2014
[3] 皮膚科の臨床:45, 1467― 1473, 2003
(院長)
*上記表の推奨度
A :行うよう強く勧められる
B :行うよう勧められる
C1:行うことを考慮してもよいが,十分な根拠がない
C1:行うことを考慮してもよいが,十分な根拠がない
C2:根拠がないので勧められない
D :行わないよう勧められる