にきび治療薬『ディフェリンゲル』の副作用対策
本日は、以前から予告していたにきび治療薬デフェリンゲルの副作用対策について述べたいと思います。
冬は、最もディフェリンゲルの副作用が強い時期なんですよ
ところで、ディフェリンゲルは顔全体で1回あたり1 finger tip unit (1 FTU)の量(上写真)が必要です(*)。私が測ったところでは約1gです。ですから、1本が2週間でなくならないといけません。
この量で外用すると、データ上は最初の1週間で64%も副作用(下グラフ)がでますしかし、そのほとんどは消失して1ヶ月で7.3%まで下がります[1]
副作用は、写真のように『赤み、ひりひり、かさかさ』です。特に冬は、顔面だけでなく頚部にもでやすいので要注意ですよ
基本1ヶ月までは、少しくらいの副作用は我慢してもらいますなぜなら、副作用は効果の反映でもありますから、対策をとると効果も落ちる可能性があります
1ヶ月を過ぎても副作用が持続する場合、あるいは2週間でも副作用が強い場合には、short-contact therapy(SCT, ショートコンタクトセラピー)を行います
この治療は、ディフェリンゲルを塗布後一定時間で洗い流す方法ですディフェリンゲルは、動物実験からたった105分程度の塗布で効果が出ると推測されています[2]
しかし私の経験上、105分で洗い流すのでは副作用は改善しますが、効果は不十分です。効果を出すためには、原著に記載されているような塗布時間の調節方法が必要です[3]
当院通院中の患者さんは、もうおわかりですよね。これ以上の詳細は、学会未発表ですのでご容赦を気になる方は受診してくださいね
(参考文献)
[1]川島 眞,他:皮膚の科学 2007; 6: 504
[2]Gaurav K et al.: Indian J Dermatol Leprol 2007; 73: 326
[3]Bershad S et al.: Arch Dermatol 2002; 138(4): 481
(院長)
(*)実際には、外用は直接手に取らず当院指定の専用スティックを使用してください。
ディフェリンゲルのSCTは、来年の第114回 日本皮膚科学会総会のイブニングセミナーで発表する予定です。
以前は、外用頻度の調節(隔日塗布など)、塗布量の調節、保湿剤の変更などの対策を行っていましたが、今ではほとんどSCTで解決します。SCTでもダメな方は、ディフェリン治療を諦めて違う治療にします。