にきび治療の戦略
今週の水曜日は、ポーラファルマの社内勉強会の講師としてよばれ、30分程度の講演をして来ました。

ポーラファルマからは、今年7月にざ瘡(にきび)治療薬のデュアック配合ゲル(過酸化ベンゾイル+クリンダマシン)が発売されています。

今年は、デュアック配合ゲルとベピオゲルという2つの過酸化ベンゾイル薬が発売になりました

使用してみてわかったことは、ディフェリンゲルに比べて副作用が少なく効果の発現が早いということです。要するに、使い易くて効果が早い
いいですね〜これ


しかし半年使用してみると、初期の急速な改善が徐々に鈍って来て、4ヶ月くらい使用するとディフェリンゲルの方がよいのでは?と思えるようになってきました。ディフェリンゲルの方がツルッとした綺麗な肌
になるなぁ〜と


下グラフはディフェリンゲルと過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)の長期効果(約1年間の皮疹減少数)を示したものです。
ディフェリンゲルは、炎症性皮疹(赤にきび:ピンクの線)より非炎症性皮疹(白にきび:灰色の線)の改善に優れているのがわかります。さらに、1年を通じて改善し続けているのがいいですね


過酸化ベンゾイルは、炎症性皮疹(赤にきび)の改善が良いのがわかりますね(赤色の線)。しかし16週位でプラトーになり、32週以降はむしろ悪化?しているようにも見えます


下グラフは、上2つのグラフを重ねあわせたものです。臨床現場で感じていたことがよくわかりますよ

1年を通して見ると、炎症皮疹(赤にきび)減少数は変わりませんが、過酸化ベンゾイルの方がディフェリンゲルより赤にきびの早期の改善が見られます(ピンクの矢印)。しかし白にきびの改善は、ディフェリンゲルの方が早期に現れ、かつ長期に持続しています(灰色の矢印)。

さらに、ディフェリンゲルには赤いにきび痕(post-acne erythema)を改善させる作用もありますので、プロアクティブ療法を含めた長期使用は今のところディフェリンゲルの方がよいのではないかと考えています

過去のブログ;にきび痕を治すディフェリン治療
以上のことからざ瘡(にきび)治療の戦略(薬の組み合わせとその時期など)がわかってきました。より早期に、より綺麗に、より長期に効果を持続させる方法が・・

講演ではこんな話をしました。
(院長)
*以上の内容は、現時点での私の個人的な意見です。
*過酸化ベンゾイルにもにきび痕(post-acne erythema)を改善させる効果があるのではないかとされていますが、ディフェリンゲルほどではないと思っています。