ざらざらお肌を治しましょう(小児アトピー性皮膚炎のtight control)
赤ちゃんのお肌をさわってみよう
つるつるしてる?ざらざらしてる?
ざらざら肌はアトピー性皮膚炎(以下アトピー)かもしれません
私が診察の時に、子供たちのお肌を触っているのは、ざらざら肌を探っているんです
診察してみると、ざらざら肌のアトピーの子は沢山います。お母さんは、気づいていないことが多いですけどね
下写真の赤ちゃんのお肌も、触るとざらざらしていました。これは単なる乾燥肌ではありません。アトピーなんです。
この皮膚の中には、炎症細胞がいっぱい浸潤しています。保湿のみで改善できる状態ではありません。
この炎症細胞を早期に消退させないと、アトピーはどんどん進行していきます
そして、このざらざら肌からダニや食物由来のアレルゲンが侵入して、食物アレルギーや喘息などを発症してくることが知られています[1]
下写真の子供の場合、全身の保湿はされていましたが、⬆︎で示した目立つ湿疹のみにお薬が塗られていました。
しかし、触診すると全身がざらざら肌でした。全身の皮膚が炎症を起こしているんですね。
ざらざら肌を全て治療すると右側の写真のように綺麗になりました。これが本来のこの子の肌なんですつるつるでしょ。
ロコヒル*で治しました
このざらざら肌ゼロを目指すことをtight control(タイトコントロール)といいます。
実は、プロアクティブ療法の真髄はここにあるんですただ単にロコヒルを塗り続けることがプロアクティブ療法ではありません。
毎回診察でお肌を触っているのはこのざらざら肌を探るためなんですよ。そして、それに従って外用剤の種類(レベル)、塗る量、頻度、塗る範囲を決定しています。
Tight controlされた肌は、皮膚からのアレルゲンの侵入(経皮感作)を防ぐことができ、将来の食物アレルギーや喘息などのアレルギー疾患の発症を予防することができます[1][2]
さらにTight controlは、アトピーの重症化と遷延化を防ぎ予後を改善するという報告もあります[2]
読み終わったら、早速赤ちゃんのお肌を触ってみましょう
(参考文献)
①Lack G et al.: N Engl J Med 2003; 348:977-85.
②片岡葉子:皮膚の科学 2015; 14(Suppl.23):13-18.
*ロコヒルは、ロコイド軟膏とヒルドイドソフトの混合軟膏です。混合比により3種類あります。開業時に師長が命名しました。
(院長)
重症例や大人は、血液データ(TARC: ターク)も使って更に精密にコントロールします。
プロアクティブ療法の過去のブログ:TARCを使用したアトピー性皮膚炎の治療
過去のブログでも述べている通り、tight controlされている患者さんは、経皮感作がなくなるため大人でも急速に総IgEが低下していきます。
過去のブログ:アトピー性皮膚炎のTARCコントロール