第118回日本皮膚科学会総会①
一昨日から本日までの3日間、名古屋国際会議場で開催された第118回日本皮膚科学会総会に参加してきました。
第1日目は、重症薬疹の教育講演とざ瘡(にきび)のイブニングセミナーを聴講しました。
重症薬疹は、私の得意分野の一つですが、開業後は全く興味を失ってしまいました
でも超久しぶり(10年ぶり?)に重症薬疹の教育講演を聴いたので、そのことを少し書いてみたいと思います。
スティーブンス・ ジョンソン症候群(SJS)と中毒性表皮壊死症(TEN)という重症薬疹は、発症からの数日間が生死を左右します
よって、如何に超初期に的確に診断するかが大切ですが、それは専門医でも難しいことです。
超初期に診断可能な検査指標(バイオマーカー)があれば多くの命が救えます。
開業前は、私も多くの重症薬疹を治療し、そのバイオマーカーを探っていました。
当時北大が、血清FasLというバイオマーカーの研究をしていることを知り、私もそれに参加しました。
この研究の成果が、北大から論文になっています[1]
この論文のほとんどの臨床写真は、当時の福井赤十字病院の患者さんのものが採用されています
その後、その患者さん達の血清を使って、後輩の中島先生がHMGB1がバイオマーカーになりうることを報告しています[2]
今回、その後のバイオマーカーの進歩が聴けました
でもまだ確実なものは見つかっていないようですね。
もう一つの重症薬疹である薬剤過敏性症候群(DIHS)は、さらに進歩していました。
予後予測をスコア化して治療方針を決定するレベルにまでなっているんですね
でも未だ病態は不明なところが多いようです。
当時の私も、病態を色々と想像して論文に書いています[3][4]
今回久しぶりに聴講して、当時情熱を燃やしていた頃のことが思い出されてnostalgicな気分になりました
でも、開業医が重症薬疹を診たり治療したりすることはまず無いんですよね。
それで、徐々に興味を失っていった次第です
2日目以降のことは、明日書く予定です。
講演の間に、企業展示場にも行ってきました。
展示場に入るといきなり、サノフィーのブースがどかん!とありました。
重症アトピー性皮膚炎の治療薬デュピクセントを製造販売している会社です。
この薬剤の効果は、近日報告しますね
次のは、ジェイメック(JMEC)のブースです。
本日、ここがスポンサーのエキシマライトとエキシマレーザーのセミナーがありました。
内容は、本当に凄かったです。
その演者の一人である横川先生に、講演前にたまたまお会いしました(下写真)。
私は、横川先生の講演を聴いてエキシマライト導入を決定した経緯があります。
今回もすばらしい講演でした。
実は今月末に、オテズラに対する紫外線(エキシマライト含む)併用療法の講演を依頼されており、今回の講演は大変参考になりました
つづく。
(文献)
[1]Murata J, et al: J Allergy Clin Immunol 2008;122(5):992-
1000.
[2]Nakajima S, et al:Arch Dermatol 2011;147(9):1110-2.
[3]Nishimura Y, et al:J Am Acad Dermatol 2005;53(11):S231-3.
[4]Nishimura Y: Dermatology 2007;214(4):338-9.
[4]Nishimura Y: Dermatology 2007;214(4):338-9.
(院長)
オテズラ錠発売2周年記念講演会