アトピー性皮膚炎の新ガイドライン
先月、日本皮膚科学会より『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版』が発表されました。7年ぶりの改訂です。
改訂された内容は色々ありますが、特に注目すべきところは、プロアクティブ療法と病勢マーカーとしてのTARC値の話だと思います
(アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版より引用)
TARCを使用したプロアクティブ療法の実際は、このブログでも再三再四述べている通りです。
まだまだ具体性に乏しい記載ではありますが、この治療法がガイドラインに初めて掲載されたことに意義があります。それも、推奨度1(強く推奨する)、エビデンスレベルA(結果はほぼ確実)で。
私の経験では、小児アトピー性皮膚炎の内に導入すれば、ほぼ100%コントロールできて完全寛解(過去ブログ)に持ち込めますただし、通院されない方(ルーズケア)は無理ですが・・
過去のブログ:タイトケアとルーズケア
これにより、除去食の必要もなく、食物アレルギーの発症も防ぐことができます。この点は、まだ今回のガイドラインには載りませんでしたが・・
過去のブログ:食物アレルギー
不必要な除去食が多すぎますからね。むしろ除去食は、アレルギーを増大させることが報告されています(The LEAP study)(*)
過去のブログ:NHKスペシャル「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」
よって最悪なケースとは、外用治療をろくにせず、除去食に一生懸命精を出しているアトピー患者さんということになります
(院長)
*すでに食物アレルギーを発症し、医療機関で適切に除去食が行われている方は除去食の継続が必要です。自己判断で中止すると大変危険です。
*以前、小児アトピー性皮膚炎治療で有名な国立成育医療研究センターの大矢先生が、アトピー性皮膚炎で除去食が必要だった症例はほとんどないと講演でおっしゃっていましたが、私も同感です。要するに、外用が十分にできてないだけと言うことです。