アトピー性皮膚炎の発症は予防できる
久しぶりにアトピー性皮膚炎(以下アトピー)の話題です
今回は、こどものアトピーの発症を、外用治療(ぬり薬)により予防できるかもしれないというお話です
最新の知見では、アトピーの主原因はアレルギーではなく皮膚バリアー機能異常(フィラグリン遺伝子の変異)にあると考えられてきています①
皮膚バリアー機能異常による皮膚の乾燥やひび割れを放置しておくと、そこから食べ物のかすやハウスダストなどのアレルゲンがどんどん皮膚の中に入って、アトピーや食物アレルギー、ひいては喘息までも発症するという考えです(下図の右側)②③④
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食物アレルギーは、アトピーの原因ではなく結果であったということです
よって、乳児期早期からの継続的な保湿・外用治療が、皮膚バリアー機能を改善させ、後のアトピーや食物アレルギーの発症を抑制する可能性が報告されてきています③
私の、少なくとも数千人以上の小児の乾燥肌やアトピーの経験からも同様の感想を持ちます 恐らく、これは真実でしょう
積極的に乾燥肌を治療している子供は、アトピーへの移行が少なく、食物アレルギーもあまり見かけません。
小児の乾燥肌は、継続して積極的に治療することが、アトピーにならない秘訣のようです
(参考文献)
①Palmer CNA, et al. : Nat Genet 2006;38:441-6.
②Komatsu N, et al. : Br J Dermatol 2005;153:274- 81.
③Eric L. Simpson, et al. :J Am Acad Dermatol 2010;63:587-93.
④秋山真志:日医雑誌 2010;138:2536-7
(院長)