アトピーのプロアクティブ療法で最も大切なところ
当院のアトピー性皮膚炎(以下アトピー)治療は、プロアクティブ療法が主体あることは以前に述べました。
プロアクティブ療法の過去のブログ:
プロアクティブ療法では、下図の左側のように症状がなくなるまで集中的に外用(←→)をして、良くなっても止めずに定期的に外用を継続します。そして、徐々に外用頻度を減らしてステロイド軟膏等の外用剤から離脱して行く治療法です。当院で通院中の方はもうお分かりですよね
プロアクティブ療法で注目されているのは定期的に外用を継続して行くところですが、最も大切なところは上図の左グラフの(←→)の部分だと私は思います
この部分(←→)の時期に、指示した外用量を集中的に塗ります。この期間は、初診から約1〜2ヶ月くらい(重症ならもっと長いことも)ですが、1〜2週間の頻度で通院することになります。ここがうまく行けば8割以上成功ですね
下写真の患者さんのケースで説明してみましょう下写真は治療開始時(平成25年3月26日)のもです。前医では、ステロイドは全く使用していなかったけれどお肌がどす黒いですねかなり重症です。
下写真は、約7ヶ月後(平成25年10月18日)のもです。この頃には、週2回のみ外用で、受診頻度は1〜1ヶ月半に1回程度です。今後は、週1回だけの外用や外用剤のレベルダウンへと漸減していく予定です。究極の完全寛解をめざして
ところでこの方は、ステロイド外用剤を使っていますがお肌真っ白です。ステロイドを使うと肌が黒くなるというのは、真っ赤な嘘ですね。黒くなるのは、単にアトピーのコントロールが悪いだけです
血液データは、下図のようになっています。TARCが、最初の1ヶ月の治療で正常値になっているのがわかりますね(←→)。ここが、治療の成否の分かれ目です
*TARCについては、過去のブログ参照:TARCを使用したアトピー性皮膚炎の治療
ここ(←→)がいきなりルーズになる方、すなわち初診からいきなり1〜2ヶ月後に再診したり、外用も半分くらいしか塗らない方は、TARCの下がり方が不十分で、後の治療がほとんどうまく行かないのです(ルーズケア)最初に口うるさく何度も指導しているのはこのためなんです
初診から3回連続してここ(←→)がルーズになる方には、さらに厳しく指導しています。
(バガボンド27巻より引用)
これは、漫画『バカボンド』の有名(?)な一場面です。こんなに厳しくはないですが、気持ちはこんな感じです(わかるかな〜)。
プロアクティブ療法の対極に当たるのが、最初の図の右グラフのリアクティブ療法で、「悪いときに塗って、ある程度良くなったらすぐ止める」を繰り返す従来の外用治療です。この治療はルーズケアになり易く、治療効果もあまりあがりません
最初からルーズケアの方は、治る(あるいは良くなる)機会を逸していると言えますねただし、仕事の関係上忙しくて通院できずルーズケアにならざる負えない方もおられますが・・・
ただし、ルーズケアであるのに『全然治んない!』とか言うのはなしでお願いしますね
(院長)
少ないながらも、TARCと臨床症状があまり一致しない方がおられます。そういった方は、臨床症状から判断してプロアクティブ療法を行っています。
小児は、ほぼ100%プロアクティブ療法を行っていますが、成人は仕事などの関係上ルーズケアになりやすく、大半は完璧なプロアクティブ療法にはなっていません。ただ、ルーズケアの方でもできるだけプロアクティブ療法になるように努力しています。しかし、3ヶ月以上の通院間隔の方は、完全にリアクティブ療法になりますね。
本文中の漫画『バガボンド』の場面は、吉岡剣術の極意「一つの太刀」をある少年が初代当主に叩き込まれるシーンです。この少年は、後に吉岡流当主となるのですが、このとき3度この極意を間違えてしまいました。上の場面の続きは下のようになります。でも、プロアクティブ療法には次はありますけどね