黒子(ほくろ)のレーザー治療1
今回はほくろのレーザー治療を紹介しましょう。
当院は、レザック社製の最新型炭酸ガスレーザーを使用してほくろを除去します。
ほくろの治療が難しいのは、再発が多いこと(特に若い方の顔面のほくろ:ミーシャ母斑)、術後に凹みが生じることです。当院にも、以前どこかで受けた治療で再発しただの、凹んだなどの訴えで再治療を希望される方がこられます。最悪なのは、エステなどでとって(違法行為)失敗などもあります。
実はこの2つの問題(再発と凹み)は簡単に解決できます。それは、術後2週間テープ(軟膏付き)をはることです(湿潤療法)。このテープを2週間がいやで、治療を断念される方が多いです。
話がながくなりました。では具体的に説明しましょう。
当院職員のお友達で、写真掲載をOKしてくれました。素敵な横顔ですが、本人はほくろが多いのがイヤなのだそうです。恋人募集中だそうです
顔面のほくろ(特にミーシャ母斑)は、皮膚の下(真皮)深くまで存在しているため、再発を防止するために深く削らないといけません。また、凹みが目立たないように、ほくろの大きさよりかなり大きく、すり鉢状に(なだらかに)削ります。この写真も、ものすごく広く削っているでしょう。
当院では2週間の軟膏とテープのかわりに、特殊なシール(企業秘密です)を10日間はります。すると、あのクレーターのような大きなくぼみが真っ平らになります。これで凹みと再発は防げました。後には赤みがのこりますが、3ヶ月もすると薄くなります。
2ヶ月後です。かなり赤みがなくなりました。半年もすると全くわからなくなるでしょう。ちなみに鼻のほくろも取っています。
10-14日間シールやテープを貼るのは嫌だという方は、最初からお断りしています。最良の治療結果を出すために妥協したくはありません。テープを貼らなくても凹みが起こらない方もおられますが、それは単に運がよかっただけですね。
そして最後にもう1つ。レーザー治療では、組織検査ができません。ということは、術前にしっかりと悪性でないことを検査しておく必要があります。最近ではダーモスコピー検査によって、かなりの精度で良性と悪性を区別できるようになりました。ほくろをとるときは、少なくとも皮膚科医によるダーモスコピー検査を受けられてからにするべきです。
当院では、2種類のダーモスコピーを使用しています(左:クリニカルサプライ、右:おんでこ)。
再診時にダーモスコピーで異常(右側の黒い点+乳白色:whitish veil)をみとめました。たった2mmの病変ですが、精査したところメラノーマの進行癌でした。治療が奏功して完治されましたが、ダーモスコピーがなければ見逃していたでしょう。このようなほくろに、万が一レーザーを当てれば悲惨です。
しっかりとした診断があってこその治療です。(院長)
*医療機関によっては、ダウンタイムを少なくかつ凹ませないために、わざと再発覚悟で浅めに削るところもあります。術前にムンテラしてあるのであれば、これも正しい治療です。上記の方法は、あくまでも1度で確実にとることを目標にしています。