虫さされにご用心②〜毛虫皮膚炎〜
今回は毛虫皮膚炎についてお話します。
蛾の幼虫である毛虫のなかには、毒を有するものがあります。中でもチャドクガ、ドクガの毛虫は有名です。
チャドクガは、ゴールデンウイーク頃に卵が孵化して毛虫となり、6、7月頃に羽化して蛾となります。これが卵を生んで、またそれが孵化して8、9月に毛虫になるという、2度の発生をします。よって、被害は二層性にきます。また、庭木としてのツバキやサザンカに大発生することがあり、実害としては毛虫の中では最大です
(下動画:チャドクガ幼虫)
ドクガは、6、7月頃に卵が孵化して1年間集団で行動し、翌年の春〜初夏(5、6月)に集団生活を解消してバラバラに生活します。その頃に被害が多いようです。ドクガの幼虫の発育は、チャドクガと比べて非常に遅いですね。ドクガの方が、いかにも毒を持っていそうな外見ですね
(下動画:ドクガ幼虫)
毛虫は何百万本という毒針毛という毒針(長さ0.1〜0.2mm)をもっています。これが皮膚に刺さって症状を引き起こします
山や公園に行った後や庭木の手入れの後に、露出部を中心に痒い、細かな丘疹(ぶつぶつ)がでれば毛虫皮膚炎の可能性が高いですね。一般に、チャドクガよりドクガの方が症状が強いとされています。下の写真は実際に当院に受診された患者さんです。
被害にあったときには、患部を掻かないことです。掻くと毒針毛が皮膚に食い込み、ますます症状が悪化します。粘着テープなどで毒針毛を取り除き、流水で洗い流します。しかし、さされていることすらわからないケースも多いです
毒針毛は毛虫から離れて宙を舞いますし、葉っぱにも付着していますので、実際に毛虫を見ていなくても被害には会います。
患部は徐々に広がっていくことが多く、被害にあったときには医療機関へすぐに受診することが大切ですね
(院長)
*毒をもつ毛虫は他に、イラガがというのがいます。これは毒針毛は持っていませんが、体表に毒針をもっていて触れると電気が走るような痛みがあります。よって、別名「電気虫」ともいわれます。7〜10月ごろに発生します。カキ、ナシ、バラなどの葉裏にいます。