当院では、皮下腫瘍(皮膚の下のできもの)の検査に新型エコーVenue(ベニュー)50を使用しています。
皮膚科で
エコー検査をしているところはあまり見かけないと思いますが、視診や触診だけで皮下腫瘍を鑑別診断するのはかなり難しいと思います
最近行ったエコー検査の中で、興味深い症例を供覧します。
1)最初の症例は、腋窩皮下に1cm程のしこりがありエコー検査をした患者さんです。
皮下に不整形の低エコー像を認め、矢印のように皮下脂肪織に伸びる蛸足のような所見があります。
こういった所見は、間葉系腫瘍のあまり良くないものに多いですね。組織の免疫染色の結果は、CD34陽性の隆起性皮膚線維肉腫(いわゆる骨肉腫)でした。
悪性ですので、拡大切除術となります。
2)次の症例は、足底の圧痛を伴う皮下腫瘤で受診された患者さんです。
皮下に楕円形の低エコー像を認めました。またカラードプラで、腫瘍の真ん中に動脈性の赤い信号も確認できました(矢印)。
真ん中の赤い信号部分が血管腔と考えると、血管の平滑筋が腫瘍化した血管平滑筋腫がもっとも考えられます。
良性ですが、もう既に歩行時痛があり、後に痛みが強くなる可能性を考慮して切除となりました。
切除組織の病理検査の結果は、予想通り血管平滑筋腫でした。
3)次の症例は、右母趾の爪を上から押さえると痛みが生じるため受診された患者さんです。まだ爪甲には変化はありませんでした。
エコー検査を行うと、腫瘍は定かではありませんが爪下に豊富な血流シグナルを認めました(矢印)。
これは、グロームス腫瘍の初期の像と思われます。いずれ爪の変化を伴い、自発痛が強くなれば手術となります。
4)最後の症例は、ふくらはぎの皮下に腫瘤が触れるため受診された患者さんです。エコー検査で皮下に嚢腫を認めました(左写真)。
粉瘤腫かと思いきや、良く調べてみると何やら別の場所に通ずる管のようなものがありました(矢印)。
この管は、膝裏の関節嚢腫まで続いていました。いわゆるベーカー嚢腫がふくらはぎにまでのびた症例でした。
粉瘤腫として手術をしていたらえらいことになっていましたね
治療の必要はなく経過観察としました。
以上のように、視診や触診だけでは皮下腫瘍の鑑別はできません。エコー検査は必須の検査です。
皮下に出来ものができて心配な方は、お早めに受診して下さい
(院長)