毛細血管拡張性肉芽腫の結紮療法4〜テクニック公開?〜
毛細血管拡張性肉芽腫(pyogenic granuloma : PG)は、日常診療でよく遭遇する血管腫の一種です。
PGの結紮療法(糸で結ぶ)は、このブログで何度か紹介しました。①②
しかし、知り合いの医師から、あまりに大きいものや小さ過ぎるものは巧くいかないと言われることがあります
今回は、それらの結紮術で巧くいかなそうなケースへのちょっとしたテクニック(?)を公開しましょう
3週間ほど前に、凄く大きなPGの方がこられました。茎部が結構太く、まあ本体もかなり大きいので結紮は難しそうです
当院は、それでも無麻酔で結紮です 結紮しても茎が太いので血流の十分な遮断ができず、虚血による変色が起こりません。
こういったケースでは、当日は液体窒素で冷凍療法を行い、後日2回目、3回目と何度も結紮します② 洗髪はOKです。
3回結紮時にようやく変色しはじめました もう一度冷凍療法を行い、1週間後に受診予約です。
これ手術を行ったら、ちとハゲますね レーザーで行ったら出血が凄いでしょう 結紮簡単でいいでしょ
これだけ大きいと悪性腫瘍と鑑別する必要があります。 ダーモスコピーと病理検査は必須です。①②
くれぐれも悪性腫瘍を結紮することのないように注意して下さいね
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次は、小児のPGです。小児の場合、このように小結節なことが多いです。結紮方法は参考文献を参照してください。②
小結節は、結紮によりすぐに虚血して変色します。よって、1回の結紮で済むことが多いのですが・・・。
このように、結紮後に少しのこってしまうケースがたまにあります
このようなケースでは、レーザーで残りを取ることも可能ですが、3ヶ月くらい待ってください。必ず消失します
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別の小結節型PGのケースです(上写真:結紮後、真中写真:PG残存、下写真:3ヶ月後)。3ヶ月でほぼ消失しています
なぜ消えて行くかは不明です。平になったので触らなくなったからでしょうか? わかりません
少し残っても慌てて処置をする必要はありません。経過をみてください。大抵は縮小していきます
(参考文献)
①Nishimura Y : Ligation therapy for pyogenic granuloma. J Dermatol. 2004 ; 31(8) : 699-700.
②西村陽一:毛細血管拡張性肉芽腫に対する結紮療法. 皮膚の科学 2008 ; 5(6): 440-444.
(院長)
:県外の方は、この治療をお断りしております。連絡もなく県外から突然受診され、治療を強要される方がおられますが、全てお断りしております。県外の方で、当院の通院指示を守ってもらえた方がほとんどおられません(1例をのぞいて)。治療に対する責任がありますのでご理解下さい。また、他県でこの治療を行っているクリニックの照会の電話が多いのですが、全くわかりませんのでご遠慮下さい。
小結節型PGが残存した場合、3ヶ月でかなり縮小しますが、完全に消えるのに半年以上かかるケースもあります。