慢性じん麻疹はいつ治るのか?
1ヶ月以上続くじん麻疹(じんましん)を慢性じん麻疹と言います。
下写真のように連日膨疹という赤くて痒い皮疹が出没します じん麻疹のさらに詳しい病態は日本皮膚科学会ホームページを参照してください。(http://www.dermatol.or.jp/qa/qa9/index.html )
ところで、慢性じん麻疹の患者さんから、「いつ治るのですか?」と訊かれることがよくあります。
抗アレルギー剤(下写真)が比較的良く効くのですが、止めるとすぐに再発するからでしょう
(当院が処方している抗アレルギー剤の一部)
ある報告では、6ヶ月以内の治癒率が26%、1年で35%らしいです①(*) 高齢者(35才以上)と罹病期間が長い(1年以上)程治りにくいとされています②
それにしても、治るまでの期間が長いですね〜
しかし、治るためには、ただ漫然と抗アレルギー剤を内服していてもだめなんです
まずは、できるだけ発症早期に確実にじん麻疹を止めること(色々なテクニックがあります)②③
次に、一定期間の予防的投与(じん麻疹が出なくても内服すること)を行うこと。理想は2ヶ月以上(英国ガイドラインは3〜6ヶ月)です③④⑤
そして、漸減中止プランを立てて内服を減量していくことです③⑥ 実は、これが一番難しい
色々な漸減法がありますが、漸減法を行わない場合と比べて再発率を64%も減せたとする報告もあります③⑥
適当に内服していては、いつまでたっても治らないかもしれません
罹病期間が長くなればさらに予後が悪化します
慢性じん麻疹は、早期に計画的に治療することが大切なんですね
(*)各予後報告でのデータのばらつきが大きく、参考程度と考えて下さい。
(参考文献)
①Kozel, et al.: J Am Acad Dermatol, 2001; 45: 378-91.
②第111回日本皮膚科学会総会 教育講演19
③日本皮膚科学会「蕁麻疹診療ガイドライン」
④Powell RJ, et al.: Clin Exp Allergy 2007; 37: 631-50.
⑤川島 眞、幸野 健:臨床皮膚科 2010; 64: 523-31.
⑥幸野 健:皮膚科フロンティア 2007; 194: 70-3.
(院長)
慢性じん麻疹の原因は、ほとんど不明です。多くの患者で自己抗体(抗FcεRI抗体、抗甲状腺抗体)が検出されており、自己免疫疾患のような病態が想定されてきています。
昨日は、患者さんが、日頃の治療のお礼と職員の慰労のためにお琴を弾いてくださることになり、その演奏会を当院外来で行いました。
にわかお琴教室も行われました。