レーザーを凌ぐ「くり抜き巾着術」
黒子(ほくろ)などの顔面皮膚腫瘍の治療には、大まかに分けてレーザー、電気メス(サージトロン等)、くり抜き(巾着)術と3つの治療法があります。
当院では3種類とも行えますが、私自身はくり抜き(巾着)術が最も優れた治療法と思っています
では、今週この治療法を行った黒子(ほくろ)の患者さんで具体的に解説しましょう
①まず、麻酔後にトレパンという円形のくり抜き刃で黒子(ほくろ)をくり抜いてしまいます。
②くり抜かれた直後です。脂肪層までくり抜きます。よって、レーザーと違って再発はありません。
③くり抜き後に、巾着縫合という特殊な縫合をします。
きゅっと結んで終了です。後は自宅で軟膏を塗ってもらって1週間弱で抜糸します。
以上で10分程度です。この方の経過は、また報告しますね
切って縫うので面倒そうですが、レーザーで切る(蒸散)かメスで切るかの違いです。どちらも麻酔が必要です。術後の手間は、むしろレーザーより簡便です
以前にくり抜き(巾着)術を行った皮膚腫瘍(→ケラトアカントーマ)の患者さんです。4ヶ月後には、手術の痕は全くわかりませんねすごいでしょ
術前
4ヶ月後
レーザー治療に比べて決定的なアドバンテージは、再発が無いことです。そして、組織検査ができて悪性、良性の鑑別ができることです。
ではディスアドバンテージは何かというと、術者が面倒だということぐらいですねこれは、私の意見ではなく、レーザーでご高名なT大W教授が、実際に学会で質問されてお答になられたことす。
こんなに優秀な治療法が、レーザーに比べて不当に低評価(患者さんの間で)になっているのは嘆かわしいので、知ってもらいたくて今回紹介しました。
(院長)
部位、大きさ、病気の種類、術者の習熟度によってレーザーやサージトロンに軍配が上がることもあります。要はどれでもできるということが大切です。こんなに大きい腫瘍は、くり抜き(巾着)術では無理ですからねこれは、炭酸ガスレーザーによる治療です。
上動画の術前
術後半年