小児がよく罹患するイボは2つあります(下写真)。
①は伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)、いわゆる水いぼです。
②は尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)、一般的にイボといえばこれです。
まず、①の水いぼについてお話します。
当院では基本的に水いぼは摘除しません。
その理由は、大部分が1年以内に自然治癒するためです。
水いぼを取る取らないは、医師によって意見が別れます。
よって、その議論はしませんが、
やはり治療は、病期を考慮して判断されるべきです。
水いぼには病期があります。
最初は、①のように白いブツブツの時期です。
まだ免疫が無く徐々に広がります。
取っても取っても出る時期ですね
この時期は、数が少なければ取ることもありますが、
免疫が無いので何度でも繰り返します
この時期は、取ることより免疫力を高めること、
乾燥肌を治療することなど、他にするべき重要なことがあります
プールに通っていれば、毎回うつってくるので
取るだけでは無駄になりますね
次は、いくつかの水いぼが赤く腫れ始める時期です。
そろそろ免疫が出てきました。
取っても良いですが、放置しても概ね3ヶ月程度で自然に消えます
この時期に取ると、再発が少なく名医と呼ばれますね
腫れの強いものは、塗り薬で治療します。
この腫れが強いと稀に、
Poxウイルス特有の瘢痕を残すことがあります。
この瘢痕を残さないために取るのも一つですが、この時期は、
取ることによっても一定の確率で瘢痕になります
次に、大部分の水いぼが赤く腫れてきます。
よく、水いぼが悪化してきたと言って来院されます。
完全に免疫が完成し、1ヶ月程度で水いぼは自然に消えます。
スキンケアと瘢痕予防の外用くらいで、摘除はしません。
この時期に、ジアノッチ症候群様の皮疹がたまに出ます。
これを知っている医師は案外少ないので、
適切な治療を受けないと、
どんどん皮疹が悪化して酷いことになることがあります
知っている医師は、すぐに対処して事なきを得ます
最後に色素沈着(シミの一種)を残す時期です。
発症から1年程度経った時期ですね。
色素沈着は、3ヶ月以内に消えます。
免疫がつき再発はしません。
以上のように、病期によって適切に判断する必要があります。
その上で取る取らないは医師の判断です。
取ったから早く治るわけでは無く、ウイルスの終息は免疫で決まります。
長くなったので、小児の尋常性疣贅のお話は次の機会にします。
(院長)