NHKスペシャル「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」
本日は、足羽川沿いの桜を見に出かけました。さすが桜名所100選に選ばれるだけあってすごく綺麗でしたただ、ちょっと寒かったですけどね
ところで先日、たまたまNHKスペシャル 「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」をみました。みなさんはご覧になられたでしょうか?
この中で、ピーナッツアレルギーの話題をやっていましたね。
特に重要な点は、今年2月に発表された「The LEAP study 」の結果を報告していたところです。この結果次第でアレルギー予防の根本が変わると当ブログで3年ほど前に取り上げた話題ですね
当時のブログ:ピーナッツアレルギーの話題、ピーナッツアレルギーの話題2
640人の乳児が参加して、ピーナッツを週3回以上食べさせたグループとピーナッツを徹底的に避けた(除去食)グループにわけて生後60ヶ月まで追跡した最もエビデンスレベルの高い調査(二重盲検ランダム化比較試験)です。
(NHKスペシャル 「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」より)
結果は(私にとっては)予想通り、ピーナッツを離乳食の早い段階でたくさん食べたほうが、除去食をしたグループより優位にピーナッツアレルギーの発症を抑えたという結果(3.2%対17.3%)です。
要するに、食物アレルギーが発症する前の早い段階で、積極的に食物(この場合はピーナッツ)を摂取することで、食物アレルギーが起こりにくくなるということです。
(NHKスペシャル 「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」より)
番組に出演していた医師も、「食物アレルギーが発症する前には、(除去食はせずに)なんでも食べさせた方がよさそうですね」といっていました
このNHKスペシャルでは、もう1つ大切なことを述べていました。それは、ピーナッツオイルを乳児湿疹のスキンケアに使ったがために、重篤なピーナッツアレルギーを起こしてしまったある患者の話です。
塗っていたピーナッツのタンパク質が、湿疹という炎症した(バリアが壊れた)皮膚から体内に入り、ピーナッツアレルギーが引き起こされたということです。
(NHKスペシャル 「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」より)
前述の出演医師も、「乳児湿疹を早く治してスキンケアを行い、皮膚バリアを強化して食物タンパクが皮膚から侵入しないようにすることが大切である」と述べていました。
乳児アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア障害をもつ乳児湿疹の重症型です。何故当院では、プロアクィブ療法で肌の良い状態を保たせているのか、その理由がよくわかると思います。
以上まとめると、『食物アレルギーを予防するためには、発症する前にむしろ積極的に食物を摂取し、除去食はダメ、アトピーなどの湿疹は早く治して皮膚から食物タンパクなどのアレルゲンが侵入しないようにする』ということですね。
(院長)
番組内でも強調されていましたが、すでに食物アレルギーを発症されている方が、勝手に除去食を解除するのは大変危険です。
*以上の話は、Lack G先生(本文の最後の写真の方)の二重アレルゲン暴露仮説に基づくもので、アレルゲン(食物タンパクなど)は、皮膚から入るとアレルギーを引き起こし、口(消化管)から入るとアレルギーが起こりにくくなるというものです。LEAP studyの結果から、仮説ではなくなりつつあります。