前回のブログで、
にきび治療の最大の目的は
瘢痕(はんこん:治療困難なにきび跡)の予防であると述べました
今回は、下写真の患者さんを例に、当院の
にきび治療について具体的に述べたいと思います
(治療前) (治療半年後)
⑴ 急性炎症期 その1(治療開始から1ヶ月まで)
この患者さんは、最重症の
にきびです。このままでは、酷い
瘢痕を残しそうです
ね
この時期の治療で最も大切なことは、できるだけ早く
炎症性ざ瘡(赤く腫れたにきび)を治すことです。ぐずぐずしていると
瘢痕が発生してしまいます
急性炎症期に使用して最も速攻性があるのは、
デュアックという薬剤です
国内第Ⅲ相比較試験で、塗布2週間で62.5%、12週間で88%の炎症性ざ瘡が減少したと報告されています。最速です
この患者さんも、抗生剤内服とデュアック外用後2〜3週間で、急速に炎症がおさまってきました(下写真)。
⑵ 急性炎症期 その2(治療1〜3ヶ月)
この時期からすでに、維持療法に向けてディフェリンを開始します。
ディフェリンは、にきびの元である面ぽうの改善と、この時期から気になり始める赤いにきび跡であるPost inflammtory erythema(PIE)の改善に最もすぐれた薬剤です。
下写真は治療2.5ヶ月後のものですが、
デュアックとディフェリンの併用療法の効果は絶大
で、新生の
にきびは急速に減少してきました。
⑶ 維持期
治療3〜4ヶ月もすると新しいにきびはほとんど出なくなってきます。
耐性菌の問題を考慮し、そろそろデュアックを中止してディフェリンのみによる維持療法(良い状態を維持させる治療)の開始です。
治療5ヶ月目(下写真)でもまだ
赤いにきび跡(PIE)が残っていますね。これを治すためにも
ディフェリンを塗り続けましょう
PIEの放置は、瘢痕につながりますから
この患者さんには、
PIEを早く消退させるために
Vビームというダイレーザー
を照射しました。
Vビームは、この時期のPIEに最も効果があります。
写真はレーザー2回照射後です。かなり
PIEが取れましたね
何とか、
瘢痕肌は免れました
この患者さんは、さらにきれいな肌を目指して初診から半年以上経過した現在も治療を継続(維持療法)されています。
以上のように、にきび治療は長期にかかるものです。その結果が肌にでます。
瘢痕で将来悩まないように、長期に計画的に治療しましょう
(注1)以上は、中等症以上のにきびに対する当院の標準的な治療です。ただし、全てのにきび患者さんに当てはまるものではありません。
(追加)
当患者さんの最近の写真です(9月中旬)
(院長)
*写真掲載を快く承諾いただいた患者様に感謝いたします。
*レーザー治療は真面目に維持療法を続けらて、かつPIEの状態であると判断した方にのみ行っています。懇意で行っている治療ですので、患者さんの希望で行うことはありません。